紫外線対策”3S” 皮膚がん発生率世界一だったオーストラリアに学ぶ
キャノン美佳 (49歳)
オーストラリアの紫外線は、日本の3~5倍あると言われ、皮膚がんの発生率も世界一でした。その皮膚がんの発生率下げることに成功したオーストラリアの紫外線に負けない努力と知恵を一緒に実践してみましょう!
オーストラリアの皮膚がん発生率を下げる努力
紫外線対策「3つのS」
オーストラリアは、皮膚がんの発生率がとても高い国で、長らく世界一でしたが、今ではニュージーランドが世界一となっています。その陰には、オーストラリアの国をあげての紫外線対策への呼びかけが大きく貢献しています。
「SLIP」「SLOP」「SLAP」の習慣
もうこれは、オーストラリアが呪文のように唱える言葉。SLIP「肌を露出せず、服を着ること」SLOP「日焼け止めをつけること」SLAP「つばの大きい帽子をかぶること」を政府があらゆる機会に、口を酸っぱくして伝えています。
この3つに加えて、「日陰を見つけてなるべく日陰に入る」「サングラスをする」も大切な要素としていつも挙げられています。
ここでみなさんお気付きのように、紫外線対策は、日焼け止めだけでは十分ではない、ということ。
日焼け止めをつけた上で、さらにいくつか紫外線対策を組み合わせることが強く勧められています。
日焼けサロンの禁止
オーストラリアでは、なんと日焼けサロンの営業は法律で禁止されています。 日焼けカプセルの紫外線は、真夏の日中の紫外線の6倍ほどの強さがあります。日焼けは時と共に薄くなっても、紫外線によるダメージは残ったままです。35歳までに日焼けカプセルを使った人は、使わない人に比べると59%も皮膚がんになるリスクが高まります。
さらに言うと、紫外線対策は、なるべく若いうちから始めるのが良い、ということ。様々な対策により皮膚がんの発生率が低下しているオーストラリアでも、依然として50歳以上の人の皮膚がんの発生率は高いのだそう。これは、50代の人が若いころには、紫外線対策のコンセプトがまだなく、すでにたくさんの紫外線ダメージを負ってしまっていたからです。
正しく日焼け止めをつける
オーストラリアの人は、日焼けしたがり。特に白人の人は、肌が白いのを隠して、なるべく肌を黒くしたいのです。オーストラリアの人は、そのほうが健康的に見えてスタイリッシュだと考えます。
そのため、日焼け止めをつけていても、十分についていないこともあり、正しい日焼け止めのつけ方も広める努力がなされています。
それぞれの日焼け止めの指示に従って使うことが前提ですが、
・出かける15分ほど前につける
・乾いた肌に伸ばす
・顔と首と耳につける日焼け止めの目安はティースプーン半分ほど
・全身日焼け止めをつけるとき、大人の場合ティースプーン1杯、35mlほどが目安量
・2時間おきに日焼け止めを塗りなおす
とアドバイスされています。
日焼け止めを選ぶときのポイント
正しい日焼け止めの塗り方の次に話題に上るのが、どんな日焼け止めを選んだらよいのか、ということ。オーガニックなコスメや自然に沿った暮らしに充実したオーストラリアでは、日焼け止めを選ぶときにも、単にSPF値が高い、汗に落ちにくい、といったような日焼けしない機能だけでなく、肌に害がないかも吟味したい点。
いろいろな選択のための要素がありますが、その中で、大きな3点をご紹介いたしますね。
紫外線吸収剤VS紫外線反射剤
日焼け止めの原材料には、「紫外線吸収剤」か「紫外線反射剤」が使われています。(両方の場合もあると思います)
紫外線吸収剤は、高い日焼け止め効果を出しやすく、紫外線がお肌に届かないように、活動粒子が紫外線より波動エネルギーレベルを上げて、紫外線を「吸収」します。
紫外線吸収剤の欠点は、外から帰って、室内に入り、紫外線量が減ったとき、日焼け止め成分粒子のエネルギーレベルが低下し、取り込んだ紫外線エネルギーを放出し始め、皮膚に到達してダメージを与えてしまうという点です。
それに対し、紫外線反射剤は、紫外線を反射させ、お肌に浸透することがなく、紫外線A波もブロックできます。
しかし、紫外線反射剤にも欠点があります。それは、紫外線反射剤は、厚く塗ると毛穴を詰まらせる原因になりかねません。代表的な紫外線反射剤の酸化亜鉛は、塗ったとき肌が白くなりやすい、というのも欠点の一つです。
酸化亜鉛VS酸化チタン
紫外線反射剤の代表的なものに、先ほど挙げた酸化亜鉛ともう一つ、酸化チタンが挙げられます。
どちらも紫外線A波、B波、両方ブロックできるので、ナチュラルな日焼け止めによく配合されています。
ナチュラルな日焼け止めで、酸化チタンよりも酸化亜鉛のほうが好まれる大きな理由の一つは、酸化亜鉛も酸化チタンも紫外線A波、B波両方防御できますが、酸化チタンは、短い紫外線A波しか防げないのに対して、酸化亜鉛は、より長い紫外線A波をブロックできる、という点です。また、酸化亜鉛には、炎症を鎮める作用があり、赤ちゃんのクリームに含まれるほど年齢を問わず使われるのも人気の理由の一つです。
ところが、酸化亜鉛にも先ほども挙げたように、肌が白くなりやすい、毛穴を詰まらせると肌トラブルになる可能性もある、という欠点があります。
ただし、酸化チタンが入った日焼け止めでも、他に日焼け止め効果を上げる成分が入っていたり、アンチエイジングや乾燥を防ぐスキンケア効果に優れていたり、様々な工夫が加えられています。
酸化亜鉛が入った日焼け止めでも、肌が白くならないようなるべく粒子を小さくし、塗ったときの透明感を大切にしている日焼け止めも現在では多く市場に出回るようになりました。
やはり、選択の際は、成分のラベルを見比べて、自分に合わない成分がないか、どんな日焼け止めが欲しいか、など目的にも合わせて選ぶのが良いですね!
ナノ粒子VSノンナノ粒子
酸化亜鉛ベースの日焼け止めの欠点として挙げた、「肌に塗ると肌が白くなる」という点、これを克服するために、現在では、粒子の小さい酸化亜鉛を使うことによって、肌が白くならない酸化亜鉛ベースの日焼け止めがたくさん手に入るようになりました。
それに伴い、オーストラリアでも話題に上るのが、ナノ粒子の日焼け止めとノンナノ粒子の日焼け止めです。
ナノ粒子は、粒子が小さいために、肌への浸透がよくなり、透明感が増す、という利点がありながら、粒子が小さすぎて、肌の奥深くに浸透し、細胞レベルで肌にダメージを与えるのではないか、という懸念もあります。
オーストラリアでは、酸化チタンと酸化亜鉛のナノ粒子の使用が認められていますが、これまでの研究などでは、ナノ粒子でも肌表面に留まり、肌を通ってダメージを与えていない、とのこと。
とはいうものの、ナチュラルな日焼け止めを作るメーカーでは、ナノ粒子を避けているメーカーがほとんどです。サイトなどの説明で「マイクロ粒子」と呼ばれている場合は、小さい粒子ですが、ナノ粒子ほど小さくない粒子を意味します。
紫外線リスクの高いオーストラリアから学ぶべきこと
日本では、幸運にも、「日焼け肌」より「色白」を好む美意識が浸透しているので、日焼け止めをつける習慣が身についていますが、紫外線を防ぐつもりがうっかり肌に害になることのないよう、賢い日焼け止め選び、そして、日焼け止めだけに頼らない紫外線対策を心がけたいものですね。
紫外線対策ばっちりで、お日様のまぶしい季節、思い切りお楽しみくださいね♪
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ライター紹介
キャノン美佳 (49歳)
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