少しずつ増えている「VRC加圧」トレーニングを加圧トレーナーが体験検証
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トレーナーAtsuya
「加圧トレーニング」という、手足を圧迫するベルトを利用して効率よく筋肉に刺激を与えるトレーニング方法をご存知でしょうか?
一昔前と比べて加圧を導入している店舗も増えているため、一度は経験があったり、やってみたいと思った事のある方も多いと思います。
しかし加圧トレーニングは基本的にマンツーマンのパーソナルトレーニングで行われるもので、かつ特殊な器具を利用するため金額的に高価になりやすく、なかなか実際に取り組むにはコストがかかります。
そんな中、今回注目したのが「VRCプログラム」という加圧トレーニングとよく似た方法。比較的安価で受けられる店舗も多く、店舗も徐々に増えてきている印象です
今回は元加圧トレーナーでもある私が、2つの違いを検証するためにVRCプログラムの体験にいってきました。
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そもそも加圧トレーニング・VRCプログラムとは?
まずはそれぞれについて、簡単にご紹介します。
加圧トレーニング
加圧トレーニングとは「kaatsu japan」という組織が特許を保有している独自のトレーニング手法で、簡単に言えば腕や足の血流を止めるような「圧迫ベルト」を利用する事で、血流を制限しながら行うトレーニング方法です。
なぜ血流を制限するかというと、血流が少ない状態で筋肉を動かすと、筋肉を動かす酸素が不足するため「細胞が危険な状態」という信号が発生し、細胞を補修・成長させるための成長ホルモンなどが多量に分泌されるようになるからで、加圧トレーニングでは通常のトレーニングの290倍もの成長ホルモンが分泌されるといわれています。
これにより、主に「ダイエット効果」「血行促進」「回復力アップ」「筋力アップ」「アンチエイジング」などの効果が期待でき、「短時間」「低負荷」で高い効果を得ることができるのが特徴です。
元々は長時間正座をしたときに足がしびれる状態が、強い負荷でのトレーニングを行った時と似ているという点から着想を得たトレーニング方法で、その効果は様々な研究でも実証されています。
加圧トレーニングは創始者の設立した「kaatsu japan」という組織が特許や商標を得ていて、kaatsu japanの発行するライセンスと、kaatsu japanの販売する加圧用のマシンが必要になります。
ちなみに、kaatsu japanの所有する特許の内、昔から行われている手動の加圧ベルトを利用したトレーニングについては特許の有効期限が切れているため、商標登録されている「加圧トレーニング」という名前を使ったり、kaatsu japanの販売するマシンを利用したトレーニングでなければ、ライセンスが無くても加圧トレーニングが行えます。
VRCプログラム
こちらはプロフィットジャパンという組織が提供しているトレーニング方法で、VRC®プログラムと紹介されます。
具体的には、VRC装置という血圧計のようなイメージで腕や足を圧迫する機械を利用し、血流を止めたり、流したりというコントロールによって、トレーニング効果を高めるというものです。
効果的に筋力アップさせる事が中心の目的になっている加圧トレーニングと比べ、どちらかというと「健康づくり」プログラムという形で表現される事が多いですが、血流コントロールによってトレーニング効果を引き上げるという点では基本的に同じとなっています。
公式に紹介されている主な効果としても、「血行促進・疲労回復」「メタボリック解消」「アンチエイジング効果」「筋力アップ」「ダイエット・痩身」などの高い効果を「短時間」「低負荷」で得られるという形で、加圧トレーニングとほぼ同じですね。
これだけを聞くと「コピー? 大丈夫?」と感じる方もいるかもしれませんが、実はVRCの開発者の方は加圧トレーニングをつくる際、一緒に研究していた方である事から、基本的に同じ理論で作られているものなのです。
基本的な理論は一緒ですが、コンセプトがわかれ別々に進化したもの! と考えていただけるとわかりやすいかと思います。
VRCではトレーニング以外にも、血流コントロールだけで成長ホルモンの分泌を促す「駆血」という利用方法などもあり、リハビリなどにも適しているとされ、医療特許も取得しているとの事。
ちなみに、トレーニング理論としては同じになりますが、機械による圧のかけ方などにも違いがあり、もちろんVRC加圧によるトレーニングを行ってもkaatsu japanの特許を侵害する形にはなりません。
それぞれの詳細な特徴と違い
以上のように、基本的にはほぼ同じものにみえるこの二つですが、細かいレベルまで含めてどのように違うのかを比べていきましょう。
まずわかりやすいところとしては使用する専門器具に微妙な違いがありました。
ベルト
加圧トレーニングのベルト
伸縮性のある素材でできたベルト。腕用・脚用の2種類がある。
加圧時の圧迫はチューブのようなイメージで圧迫部がピンポイント(細い)
VRCプログラムのベルト
伸縮しない素材でできたベルト。
加圧トレーニングのベルトのように腕と足の2種類だけではなく、「駆血トレーニング用」や、よりしっかり血流を制限するための3点止めベルトなど用途に合わせて様々な種類がある。加圧時の圧迫部はバルーンのようなものが膨らみ、面で圧迫されるイメージ
このように、一番わかりやすい違いとしてはベルトの種類でした。
加圧トレーニングは1種類のベルトでトレーニング・ストレッチを行います。これに対しVRCは「トレーニング用」「駆血用」などいくつかのベルトがあり、使い分ける事によって色々な目的で利用する事ができます。
ちなみに、この「駆血」ができるというのがVRCの1番の特徴かと感じたので詳しく紹介すると、駆血とは、止血に近い状態を1分間保持、その後除圧を1分間。これを繰り返し行うことで血流の改善を行うというものです。
血流を止める事で成長ホルモンの分泌を促し、その後一気に血流を流す事で血管を強化するなどの効果も得られる事から、特に冷え性や関節痛、リハビリなどに期待ができます。
運動をせず座っているだけなので、トレーニングより人気なんだとか。
また高強度のトレーニングを希望の場合は、3点止めるベルトを使用することでしっかりと血流を止められるため、3分~5分でオールアウト(限界状態)まで行うことができました。
装着時の感覚は、加圧ベルトよりVRCの方が面が大きい分痛みや違和感といったものが少ないという印象でした。
マシン自体の違い
次にベルトに空気を入れるマシンの違いです。
加圧トレーニング
加圧トレーニングでは、トレーナーが手の色やクライアントの反応を参考に圧を調整し適正圧に合わせていく。
またベルトの装着圧(空気を入れる前の状態での圧迫度)にも左右されるため強さの調節にトレーナーの経験・熟練度が必要となる
VRCプログラム
本体のマシンに付属の脈拍系で適正圧をマシンが判断。(ほぼ自動)
ベルトは軽く巻き、空気圧のみで適正圧を調整するため装着圧などの要因はなし
負荷の強弱については調整が可能
マシンの違いとしては、加圧トレーニングの方が経験が必要ということ。VRCの場合は適正かどうかをマシンで確認しながら行うためトレーナーの経験や熟練度によっての差が少ないです。
実は、加圧トレーニングでもVRCトレーニングでも、トレーナーは認定ライセンスの取得が必要になるのですが、加圧トレーニングが日数やトレーニング経験が必要なのに対し、VRCが短期間(1日)で取得できるようになっています。
これは、VRCはほぼ機械が自動で調整するため、トレーナーがあまり詳しくなくても対応できるという事が理由かと思います。
VRCは自動なのでどこでも安定した品質でのトレーニングが可能な一方で、加圧トレーニングはトレーナーの知識や経験さえしっかりしていたら、より効果的なトレーニングを受けられる可能性もあるという点があるのが、両者のメリットやデメリットといえるでしょう。
トレーニング動作中の感想
動作中の違いを両者で比較すると、VRCの場合はベルトに伸縮性がないのでベルトがずれにくい反面、トレーニング時の可動域(動かしやすさ)は加圧トレーニングに負けてしまいます。
ただ、よほど大きく動かしたりしない限りではあまり差がなく、私の体験時には動かしにくいというような感覚はあまり感じなかったので、個人の体格やメニュー内容によるといった所。
筋肉への効き方や感覚に差はあまり感じられませんでした。
点状出血の発生
今回のようにベルトで圧迫をするトレーニングでは点状出血という、赤い点々が皮膚に現れることがあります。
これは、血流の制限により止まった毛細血管の血流から発生するもので、特に健康に害はなく体質や個人差により出るかどうかは異なります。1週間~10日前後で消えます。
両トレーニングとも点状出血は出ますが、圧迫範囲の広い分VRCの方が点状出血が出やすいように感じます。体験時も私は点状出血になっています。
値段
これは受ける店舗にもよりますが、平均的な値段で比べるとVRCの方が圧倒的に安価になります。
加圧トレーニングは殆どが通常のパーソナルトレーニングよりも高価なのに対し、VRCプログラムは通常のパーソナルトレーニングと変わらないところが多い印象です。
これはおそらく、資格取得や更新費の違いが影響しています。
元々私も加圧トレーニングのライセンスを取得していたのですが、加圧トレーニングは資格取得や更新費とも年間で数十万以上、機材も高額のものが多いため、どの店舗でも、どうしてもあまり低価格での提供はできません。
一方で、VRCプログラムは機材こそある程度高額であるものの、ライセンス料などは安価であるため、低価格で提供できる店舗が多いのではないでしょうか。
機械がほぼ自動で調整するため、トレーナーの育成にあまりコストがかからないというのも低コストで受けられる理由の一つといえます。
まとめ
以上のように、実際にVRCプログラムを経験してみての感想としては、基本的なトレーニング理論は同じで、効果としてもほぼ同じ。両方とも同じく短時間・低負荷で効率よく行えるトレーニングになっているというのが、元加圧トレーナーとしての実感です。
VRCプログラムの方が受けるための費用が比較的安価なので、加圧トレーニングを取り入れてみたい、経験してみたいという方はまずVRCプログラムでのトレーニングを受けてみるとよいのではないでしょうか。
VRCは駆血などできることの幅が広いので、健康のために何かやりたいけれど、トレーニングまでやるのはちょっと……というような方にもおすすめです。
しかし、注意点としてはVRCプログラムは資格取得までの研修が短い分、トレーナーによっては経験が不足し想定外のことが起こった場合、対処ができない可能性は考えられます。
いくら加圧によってトレーニング効果が引き上げられても、そもそも体質や目的に合わせたトレーニングの指導がされなければ効果的なトレーニングにはならないので、しっかりとトレーナーの知識や経験がある店舗を選んだほうが良いでしょう。
特に、特殊な体質や悩みなどがある方、本格的にスポーツなどをやって体づくりをしていきたいような方は、高価でも加圧トレーニングを受けてみる方が悩みの解決につながりやすくなるかと思います。
「加圧」トレーニングはより素早く、簡単に体づくりをしていくためにとても役立ちますので、是非皆さんも体験してみてくださいね。
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