市販薬やセルフケアで解消できるシミとできないシミの違い
なぎ
多くの女性を悩ますシミには非常に多くの種類や症状があり、一概にシミ治療と言っても現実的には広義な意味があります。近年では市場にはたくさんのシミ治療薬やシミのケア用品などが流通していますが、そもそもそれらが自身のシミに対して有効かどうかを確認することを忘れてはいけません。
そのため、シミ治療の基本的な第一歩は「シミの症状を理解する」ことから始まると言えます。今回は、シミの種類やセルフケアの有効性、有効成分などを解説し、適切なシミのセルフケアが出来るように様々な情報をまとめました。
シミの種類
まず基本となるのがシミの種類を理解することです。実はシミには非常に多くの症状があり、大まかに区分できても厳密に細分化することは難しいと言われています。加えて、ふたつ以上同時に発症するケースもあるため、シミの種類を見極めるには専門医による診察が必要ということも理解しておきましょう。
しかしながら、一般的なシミの種類はおおきく4つに分類されることがほとんどで、シミの症状の8割から9割近くはこれらの4つに該当するとされています。一般的にシミと呼ばれる代表的な症状は以下のようなものがあります。
一般的なシミの4つの症状
・老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)
シミに悩む人の80パーセントが該当するとされるのが老人性色素斑です。別名で日光性色素斑、日光黒子などとも呼ばれます。1センチ程度の褐色から黒色をしていることが特徴で、主に紫外線があたりやすい部位に生じる傾向があります。
老人性色素斑は男女問わず、肌のターンオーバーが乱れがちになる30歳以降は高い確率で発生し、60歳頃には必ずと言っていいほど現れるのが特徴です。
・炎症性色素沈着
ニキビや切り傷、虫刺されなどの様々な皮膚の炎症跡に出来るシミです。炎症の大きさに沿った程度のシミが出来ますが、傷が完治すると同時に自然に消えることが特徴です。しかし、傷口に紫外線を受けたり、何かしらの刺激が加わると消えない場合もあるため、あながち放置できないシミと言われています。
・肝斑(かんぱん)
30歳から40歳代にかけて頬骨周辺に左右対称に現れるのが肝斑です。現代においても明確な原因が特定されておらず、女性ホルモンの乱れが関与していると言われています。老人性色素斑と合併して現れることもあるため、素人目には判断しにくいシミとされています。
・雀卵斑(じゃくらんはん)
思春期を中心にして現れるシミが雀卵斑、通称「そばかす」です。遺伝性のものが大半で、思春期を終える頃には自然に消えることが特徴です。一方で、雀卵斑の部分に紫外線を浴び続けると老人性色素斑となり、消えないシミになるケースもあります。
このようにシミとは一般的には老人性色素斑、炎症性色素沈着、肝斑、そして雀卵斑の4つに分類され、8割以上の人のシミはこれらに該当するとされていますので、自身のシミがこれらのどれに該当するかを理解したうえで、適切なセルフケアに取り組むことが重要です。
セルフケアについて
シミの種類や症状には個人差がありますが、セルフケアで解消できるシミと、セルフケアでは解消できないとされるシミに分けられることも確かです。セルフケアを始める前に、そもそもシミのセルフケアが有効かどうかを理解しましょう。
セルフケアが有効とされているシミの種類
・老人性色素斑
ほとんどの人のシミは老人性色素斑に該当するとされるほど典型的なシミの症状ですが、初期段階のシミであれば肌のターンオーバーによって自然に消えるとされています。褐色または黒色に近い状態にまで色素沈着を起こしている場合は、塗り薬や内服薬を通じて薄くすることが限界で、シミ自体を消すことは難しいでしょう。
老人性色素斑はターンオーバーを促進するためのセルフケアが有効で、血行促進や十分な睡眠などターンオーバーを促進する事を心がける事が第一です。
また、ビタミンCやL−システインなどメラニン色素の発生を防止したり、還元したりする作用のある美容成分の摂取も効果的とされています。
尚、老人性色素斑はできてから治療するよりも、できないようにケアを行う事が有効で、紫外線が原因であるため紫外線対策を徹底する予防の意識も大切です。
・炎症性色素沈着
皮膚の炎症の傷跡に出来る炎症性色素沈着は傷が癒えると同時に消えることがほとんどですが、炎症の長期化や紫外線などの影響で消えないシミとして残ることもあります。
老人性色素斑と同様に肌のターンオーバーによって消えるため、肌の代謝を高めるケアが有効とされています。同時に紫外線対策や傷口への刺激を避けることなど、日常生活での配慮が必要です。
・肝斑
肝斑は30歳以降の女性に多く見られるシミの典型例ですが、老人性色素斑と同時に現れることもあるため厄介な存在として知られています。肝斑は他のシミの症状とは異なり、レーザー治療が有効ではありません。むしろ、症状が悪化する懸念があるため、内服薬を通じたセルフケアで対応しなければいけません。
肝斑にはトラネキサム酸を一定期間服用し続ける方法が有効な治療法として知られています。トラネキサム酸にはメラノサイト活性化因子の働きを抑制する作用があるため、肝斑の生成自体を防ぐ効果があり、新しい肝斑の生成を防ぐ事で、ターンオーバーとともに肝斑の症状が軽快していきます。
一般的にはトラネキサム酸が配合されている内服薬を2ヶ月以上服用することが必要とされています。
セルフケアでは解消しにくいとされるシミの種類
・雀卵斑(そばかす)
シミの代表格のひとつでもある雀卵斑(そばかす)は遺伝性によるものがほとんどとされているため、セルフケアでは解消しづらいとされています。ほとんどの場合、思春期を終える頃には自然に消えていきますが、紫外線を浴び続けるとそのまま残ることもあります。セルフケアで解消することよりも、悪化させないための対策が重要と言えます。
・太田母斑(おおたぼはん)
日本人の0.1パーセントから0.2パーセント程度の割合で発症するとされている太田母斑と呼ばれる症状は他のシミとは特性が異なるため、セルフケアでは解消できないとされています。自然消失することはなく、治療にはレーザー治療が一般的で、健康保険が適用されることも特徴です。
・脂漏性角化症
別名で老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)や、老人性いぼと呼ばれる脂漏性角化症は、紫外線や加齢によって皮膚が老化することで生じるシミやイボです。セルフケアでは解消できないため外科的手術や凍結療法、炭酸ガスレーザーなどによる治療が必要です。
このように一般的にシミと呼ばれる症状のほとんどはセルフケアが有効とされています。一方で、肝斑のように内服薬でしか解消できないとされているものや、レーザー治療などでしか解消できない脂漏性角化症などもあるため、まずは医師による診断を受けることが望ましいでしょう。
シミの解消に繋がる有効な成分とは
シミに対するセルフケアで最も典型的な方法が塗布薬と内服薬の活用です。いずれの場合も含まれている成分が重要ですので、シミを解消するのに最適な成分について理解しましょう。
ビタミンC
シミのセルフケアの定番成分とも言えるのがビタミンCです。ビタミンCにはメラニンの生成を防ぐ効果があります。そのため、シミのセルフケアには欠かせない成分です。ちなみに、ビタミンCを肌の奥により届けやすくしたものがビタミンC誘導体です。
トラネキサム酸
もともとは抗炎症薬や止血剤として使用されていたトラネキサム酸ですが、2007年に肝斑の解消にも効果があることが立証されて一般医薬品として認められました。現在では肝斑と診断された場合に必ずと言っていいほど処方されてるほどの定番の成分です。そもそも新しいメラニンの生成を防ぐという働きがあるため、肝斑以外のシミの治療にも用いられます。
L-システイン
L-システインには過剰に生成されたメラニンを無色化させる効果や、肌のターンオーバーを正常化させる作用があります。シミのセルフケアにおいてL-システインの摂取が最も重要と考える専門家もいるほどで、ビタミンC同様に欠かせない成分と言えるでしょう。
アルブチン
コケモモなどから抽出された美白成分で、メラニンを生成するチロシナーゼの活性化を抑制することでシミの発生を根本から防ぐ作用があります。
資生堂が開発した厚生労働省認可の医薬部外品美白成分(シミを防ぐ成分)で、現在では特許が切れた事もあって多くの美白コスメに配合されています。
ハイドロキノン
すでに出来てしまったシミを薄くする効果が見込めるのがハイドロキノンです。もともと欧米ではシミ治療の代表的な成分でしたが、刺激が強いため日本国内では2001年まで使用できませんでした。現在では4%までの低濃度の物に限り、市販製品でも採用されています。塗った状態で紫外線を浴びるとシミを誘発するため、使用する際には使用方法を厳守する必要があります。
シミのセルフケアにはこれらのような成分が含まれている物が有効です。市販製品も処方薬もこれらの成分が主成分となっているため、セルフケアの際にはこれらの成分が含まれているかどうかを基準にすると良いでしょう。
まとめ
シミには市販薬やセルフケアで解消できるものとそうでないものがあります。ほとんどのシミはセルフケアで改善できるとされていますが、すでに出来てしまったシミを根本から解消することは難しいことも認識しておきましょう。そのため、シミができる原因を理解し「予防の意識」と「悪化を防ぐセルフケア」が有効です。
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監修 吉木伸子
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