紫外線を防止する、メラニンなど肌の3つの防御機能
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jobikai お悩み解決辞典
肌の大敵「紫外線」。
紫外線を防御する役割としてメラニンがあるという事は知っている人が多いと思いますが、実は肌にはメラニン以外にも紫外線から体を守る機能が存在しています。
紫外線を吸収して真皮を守るメラニン
肌の紫外線バリア機能として、特に重要な働きをしているものがメラニン。
メラニンは表皮の一番深い部分、基底層の所で真皮層に食い込むような形で存在している色素細胞(メラノサイト)によって作られる色素成分で、光を遮るカーテンのように、肌の細胞に届く光を遮断して紫外線によるダメージから守ります。
肌の色の違いは作られるメラニンの種類の違い
黒人の肌が黒いのも、日本人の肌が褐色なのも、基本的にはこのメラニンによるもの。
ただし、これはメラニンを作るメラノサイトの数の違いではなく、メラノサイトで作られるメラニンの種類の違いによるものです。
メラニンには黒い「ユーメラニン」と、黄色い「フェオメラニン」の2種類があり、作られるメラニンのどちらが多いかによって肌や髪の色が変わります。
メラノサイトの数は肌にある基底層の細胞の7〜36個に1個の割合で存在していて、顔など光が当たりやすい場所には多く、逆に光が当たりにくい足の裏などには少なくなっています。
色が黒くても足の裏が白いのはこのためです。
メラニンは肌の細胞の中に入って細胞の核を守る
メラニンはメラノサイト内のメラノソームという所で作られるものですが、出来上がったメラニンは肌の細胞の間ではなく、肌の細胞の中に入り込んでバリア機能を発揮します。
具体的には、メラノサイト内で作られたメラノソームが、ある段階でメラノサイトから飛び出し、肌の細胞に食べられるような形で細胞の中に移動。その後、肌の細胞の核を守るようにメラニンが配置され、メラノキャップと呼ばれるバリアとなります。
こうした特徴によって、肌の細胞が紫外線によって傷つかないようにしっかりと細胞を守るだけではなく、一定期間が経過すると肌の細胞と一緒に垢となって剥がれ落ちるというサイクルが出来上がっています。
また、メラニンには紫外線から細胞を守るだけではなく、紫外線によって出来た有害成分の除去などの役割もあり、肌の健康を守る非常に頼もしい成分なのです。
肌の細胞に入り込めなかったメラニンはどうなる?
シミのような色素沈着の説明で、メラニンが下の方に落ちていき、基底層や真皮の部分に蓄積されるといったようなものを見かけますが、作られたメラニンが上手く肌の細胞に入り込めなかった場合は、メラニンはどうなるのでしょうか。
実は、メラニン細胞が基底層の下にある基底膜という部分よりもさらに下に落ちてしまう場合があり、この場合は真皮の表面側にいるマクロファージというものに食べられます。
マクロファージは肌の免疫機能として働くもので、異物を食べて無害化する事で肌を守っているのですが、落ちてきたメラニンを異物として認識して食べてしまう事で、メラノファージとよばれるものに変化します。
そして、このメラノファージこそ、スキンケアを頑張っても消える事のないシミの正体なのです。
メラノファージは真皮層に残り続けるため、表皮がターンオーバーによって入れ替わってもなくなる事はありませんし、メラノファージはその場から移動しなくなるため、シミとしてずっとそこが黒い色の状態となります。
つまり、シミを作らないためにはメラニンを防ぐのではなく、メラニンが真皮に落ちていく事を防げばいいのです。
その為には、表皮と真皮の間にある基底膜に穴を作らせない事が大切となるのですが、基底膜に穴を開ける大きな原因が紫外線や活性酸素であるため、紫外線ケアや抗酸化作用のある栄養を摂取して活性酸素を除去していく事が大切です。
メラノファージとなってしまった場合は、レーザーなどによってメラノファージを破壊する事でメラニンを除去する事が可能となります。
顆粒層にあるケラトヒアリン顆粒が紫外線反射材の働きをする
メラニン以外の紫外線対策成分が、ケラトヒアリン顆粒という、肌の顆粒層にある特有の組織です。
ケラトヒアリン顆粒は細胞が角質層に移動する時にNMFとなるものですが、顆粒層では光を反射する性質を持ち、紫外線反射材として働きます。
ケラトヒアリン顆粒がしっかりと作られるためには肌のターンオーバーが適切に行われている必要があるため、肌の保湿ケアや健康的な生活習慣によって、肌の代謝を整える事が、紫外線対策としても重要となります。
紫外線を吸収し、肌の細胞も守る「ウロカニン酸」
肌の細胞が顆粒層から角質層に移動する時、ケラトヒアリン顆粒は細かく分解され、NMFを始めとしたいくつかの成分に変化します。
その一つがウロカニン酸というもので、ウロカニン酸は紫外線を吸収して無害化する紫外線吸収剤のような働きや、紫外線によってダメージを受けたメラニン細胞などを保護して復活させるといった作用を持ちます。
ウロカニン酸は皮膚の代謝によって作られる他、汗にも含まれているため、適度な汗は拭きとらずに残しておく事も紫外線対策となります。
天然のUVケア成分を大切にして紫外線対策を
肌の色が濃くなり、くすみの原因として嫌われやすいメラニンをはじめ、肌には元々上記のような紫外線対策の機能が備わっています。
天然のUVケア成分であるこれらを有効活用する事が、肌を健康的で美しく保つためには重要となりますので、むやみやたらにメラニンなどを避けるのではなく、しっかりと有効活用して美肌を目指しましょう。
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