肌の構造とはたらきについて

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私達が普段目にしている「肌」は、大きくわけて「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つに構造が分かれています。
それぞれの役割や特徴について解説します。

肌の役割と構造

人の肌は、全て広げると成人でだいたいタタミ1畳(1.6㎡)の大きさと言われていて、肌を一つの臓器と考えると人の体の中で最も大きな臓器だという事ができます。

その役割は外部から体内を守る事で、肌が無ければ人は細菌や乾燥、紫外線といったような外部刺激から身を守る事が出来ず、生きていく事が出来ません。例えば、肌を熱で失う火傷の場合は全身の20%以上に火傷が及ぶと命が危ないとされます。

肌には外部の刺激から身を守るだけではなく、体内の水分量を維持する役割や体温を一定に保つ役割、また環境の変化や外部の刺激を感知するといった機能があり、丈夫な肌を維持する事は外見上の美しさだけではなく、健康面でも非常に大切なのです。

そんな肌の構造は、大きく分けて3つ。
紫外線や病原菌などから身を守り、水分を保つ「表皮層」。
物理的な刺激を吸収し、表皮の状態を維持する「真皮層」。
体温の維持や、衝撃へのクッションとなる「皮下組織」という内容になっていて、それぞれが連動して働いています。

肌表面を覆う膜のようなバリア機能「表皮層」

表皮層は肌の一番表面。人の目から見える部分は、全てこの表皮層です。
表皮層は厚さが0.2㎜しかない非常に薄い組織で、イメージとしてはキッチンで利用するラップと同じ。
ラップの役割は食品に埃などがかからないようにする事や、水分の蒸発を防いで乾燥させない事にありますが、表皮の役割もそれと同じ。肌にウィルスや菌が侵入しないようにバリアしつつ、体内の水分が蒸発しないように防いでいます。

また、人によって異なる肌の色はこの表皮に存在するメラニンの量によって引き起こされるもの。メラニンは紫外線を防止するための機能として表皮で作られ働いているものですが、この非常に薄い表皮層だけで肌の色が変わってくるのです。

表皮は更に「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」という段階に分かれ、それぞれ特有の働きをしています。

表皮の細胞を作り出す「基底層」

基底層は表皮の中でも一番下にある部分で、表皮の細胞を作り出す工場です。
ここで細胞が新しく作られる事で、その上にある表皮の細胞が上に押し上げられていきます。

細胞が密接に繋がり合う「有棘層」

基底層で作られた細胞は、まず有棘層という部分に入ります。
有棘層は細胞同士の繋がりが強く、繋がり方が棘(とげ)のような形に見えるから有棘層といいます。
表皮に柔軟性を持たせ、またそれ以下の部分に有害な物質が入らないよう、強固に守っている層です。

保湿成分が作られる「顆粒層」

有棘層の細胞がある程度押し上げられてくると、細胞が顆粒層という2~3層からなる場所に入ります。
顆粒層にある肌の細胞は、細胞の中で「天然保湿因子(NMF)」やセラミドなどの「細胞間脂質」といった保湿成分の元を作り出しています。
また、顆粒層という名前は「ケアトヒアリン顆粒」という独特の成分が含まれる細胞という事から名づけられていますが、この成分は光を反射・屈折する鏡のような役割をもっていて、紫外線のダメージから肌を守る働きも行っています。
顆粒層にある細胞は保湿成分を作った後で核を失い、死んだ細胞となります。

水分の維持と外部刺激から身を守る「角質層」

顆粒層の細胞が死んだ細胞となって積み上げられるのが「角質層」です。
角質層にある細胞は核という細胞の活動を維持するものが無く、細胞自体が新しい活動を起こす事はありません。
しかし、だからといってすぐに体外に排出されるというわけではなく、顆粒層で作られた「天然保湿因子」が細胞の中での保湿、「細胞間脂質」が細胞同士の接着剤兼、細胞の外での保湿として働き、暫くの間肌に残り続けます。
また、角質層の更に表面では皮脂が油膜を張る事で水分の蒸発を防ぎ、「天然保湿因子」「細胞間脂質」「皮脂」の働きによって、肌内部の水分量を維持する働きをするほか、皮脂膜が酸性となる事でウィルスや菌を殺菌し、外敵が侵入してこないようにバリアしています。

角質層の細胞が更に押し上げられていくと、一定の所で細胞同士をくっつけている細胞間脂質を分解する働きが発生し、剥がれた細胞は垢となって落ちていきます。

このように、基底層で作られた細胞が徐々に押し上げられながらその役割を変え、肌の保護機能として常に新しく生まれ変わっていく事を「ターンオーバー」といいます。

体の部位によって厚さの違う「真皮層」

真皮層は表皮層の下にある組織で、70%以上が肌の弾力を保つコラーゲンなどの繊維で作られています。
真皮層は体の部位によってその厚さが異なり、厚い所では4㎜程ありますが、まぶたなど薄い所では1㎜ほどしかありません。
真皮層は肌の弾力を保つ役割を持っているため、真皮が薄い部分ではシワやたるみなどのトラブルが起こりやすくなります。

真皮層のコラーゲンとエラスチン

真皮層の特徴である弾力は、コラーゲンとエラスチンという繊維によって作られています。
コラーゲンは真皮層にある「線維芽細胞」というものによって作られ、不足していると供給されますが加齢などによってその分泌量が減少すると、肌の弾力が失われてシワやたるみといったトラブルの原因になります。
一方、エラスチンはコラーゲンに巻き付くような形で存在していて、コラーゲンという弾力のある繊維をエラスチンという留め具でまとめる事によって、肌の強い弾力が生み出されています。
しかし、エラスチンはあたらしく作られずに減少していくのみとも言われており、肌を美しく保つためにはいかにエラスチンを減少させないようにケアするかが大切とされています。

真皮を更に細かく分けると3つの層に

真皮の構造は、細かく分けると真皮と表皮が接続している「乳頭層」、その直下にある「乳頭下層」、そしてそれ以外の「網状層」に分かれます。

乳頭層は凹凸になって表皮と接続し、真皮にある血管から表皮に栄養を供給しています。加齢などによりこの凹凸は減少してなだらかになると、伸び縮みしにくくなるため肌の柔軟性が失われ、またたるみやすくなります。

真皮の主要な構成はコラーゲンとエラスチンと紹介しましたが、これは厳密には網状層の構成。真皮の20%程度は乳頭層であるため、残りの部分の殆どが繊維という事になります。

肌の土台「皮下組織」

皮下組織という名前の通り、肌(皮)の下にある組織部分。肌の構造という場合は多くの場合でこの皮下組織までを含めて肌として考えます。
皮下組織はそのほとんどが皮下脂肪によって出来ていて、柔らかいクッションの役割で外部からの物理的な衝撃を和らげる他、保温機能としての働きがあり、体温を一定に保つために重要な役割となっています。
また、皮下組織には肌の代謝に必要な栄養を届けたり、逆に肌の老廃物を改修するための血管が通っています。
そのため、血液から栄養を得て毛を育てる毛乳頭や、血液の成分から作られる汗を分泌する汗腺の根本なども皮下組織に接続するように存在している事が多くなります。

スキンケアは皮膚の何をケアするか考える事が必要

以上のように、肌はそれぞれの層で特徴があるため、スキンケアといってもトラブルの内容によってケアをする場所や方法が変わってきます。
肌の構造を理解して、どの部分へのケアが必要なのかを理解すると、より高い効果のスキンケアを行う事ができるようになりますよ。

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