肝斑治療のあらゆる疑問に肌の名医が回答!
EXPERT jobikai編集長
しゅん (40歳)
吉木伸子 (美容皮膚科医・よしき銀座クリニック院長)
が監修しています
しみと肝斑の違いって? どうやって治すの? セルフケアできるの? など、さまざまな肝斑治療に関する疑問に対する答えを、美容皮膚科歴四半世紀の肌の名医、よしき銀座クリニック院長 吉木伸子さんに教えていただきました。
教えてくれた方
よしき銀座クリニック 吉木伸子院長
美容のメッカ銀座で24年以上、美容皮膚医として続けてきたパイオニア。
肌の専門家としても長期にわたり活躍し、著書は書店の美容棚の常連となっている。
令和5年にクリニックを移転、美容皮膚科をはじめ美容外科、内科、歯科、婦人科など美容総合クリニックとしてリニューアルオープン。東洋医学の漢方や鍼、トレーニングジムも併設し、全身の美と健康をサポートしている。
しみ、肝斑、そばかす... しみの種類とそれぞれの違いとは?
美容皮膚科で治療されることが特に多い主なシミの種類としてはこれらがあります。
老人性色素斑
ポンっと判を押したような、輪郭がくっきりとした茶褐色のしみ。
主に紫外線の影響により生成されたメラニンが長年により蓄積されたもの。
加齢に応じてより濃く大きくなりやすいのが特徴。
そばかす(雀卵斑)
年齢に関係なく現れる細かなしみ。華や頬のあたりに分布することが多い。
薄茶色のものから黒っぽいものまで様々だが、肝斑とは違い細かくても輪郭がはっきりしているのが特徴。
雀(スズメ)の卵のような黒いプチプチとした模様が現れるため「雀卵斑」と言われる。
肝斑
茶褐色〜灰色っぽいモヤモヤとした輪郭のはっきりしないしみ。色素の箇所が皮膚の深い層にあるため、はっきりと分かりにくいのが特徴。
左右対称に現れ、主に頬骨の突き出たあたりに三角形状に出る。稀に頬の下側や鼻の下、顎や額などにも現れることがある。下瞼には現れない。
原因は様々考えられるが、ホルモンバランスの影響を受けて発生する場合が多いと言われている。また、紫外線や外部刺激などで濃くなったり範囲が広がったりしやすいため、治療は慎重に行われる。
炎症性色素斑
炎症を起こした後にシミとなって定着してしまったしみ。元々は赤くなっていた箇所が少しずつ色が濃くなっていき、次第に茶褐色になっていく。
吹き出物やレーザーなどの治療痕、赤ら顔などが炎症性色素斑になっていくことがある。
肝斑が現れる原因とは?
ホルモンバランスの影響
炎症を起こした後に肝斑がなぜできるのか? その明確なメカニズムは完全には解明されていません。しかし原因として考えられているものはいくつかあります。その中で特に大きな原因と考えられているのが、ホルモンバランスの変化です。
肝斑は、更年期前後の女性に出やすく、年齢としては40歳前後に出る場合が多いです。ただし例外もあり、一生出ない人もいれば、20代から出る人もいます。また、ピルなどの服用をきっかけに出る場合もあれば、逆に肝斑が治る場合もあります。
スキンケアで悪化することも・・・!
肝斑は紫外線や、スキンケアによる過度の刺激などによって肝斑が濃くなったり範囲が広くなることもあります。
(吉木先生)
「自宅でのお手入れの刺激によって濃くなることがあります。ホームケアもクリニックで指導してもらった方がいいですね。大体拝見すると、お家でのケアが強すぎる人ってわかっちゃう。25年、四半世紀肌を診ていますから、擦りすぎてるなっていうのはわかります。」
肝斑の見分け方
肝斑は他のシミと比較して、下記のような特徴があります。
・左右対称に出る
・顔の上半分に出ていても下瞼のところだけは境界線を引いたように出ていない
・そばかすなどのように点々としていなくて、薄い褐色状にもやっとおぼろげに見える(境界線が見えない)
(吉木先生)
「主に頬骨の高いところに出る場合がほとんどなんですが、稀におでこや鼻の下、顎や頬のくぼみなどにも出ることがあります。
頬骨のあたりは日焼けなどでもしみになったりしますが、区別しやすいのは、顔の上半分の肌の色が濃くなっているのに下瞼にだけ境界線を引いたように色がついていないのであればそれは肝斑です。」
肝斑に適した治療方法は?
肝斑が他のしみと比べての特徴として
・範囲が比較的広めである
・皮膚の深い層に色素がとどまる
・物理的刺激により悪化しやすい
などがあります。
これらの特徴から、他のしみと同じようにメラニン色素を焼いて破壊するタイプの治療法だと、その刺激によって逆に悪化させてしまう恐れがあるため注意が必要です。
そこで、肝斑治療の選択肢としては、下記のようなものが挙げられます。
・レーザートーニングなどの微弱なレーザーによって少しずつメラニン色素を破壊する
・トラネキサム酸やビタミンC、Eなどの飲み薬によってメラニンを還元したり、メラニンの生成を抑制するなどして減らしていく
・イオン導入(またはエレクトロポレーション)や外用薬の継続などにより少しずつ薄くしていく
・ポテンツァの肝斑モードなどを使用し、基底層を整えることで新たな肝斑の発生を抑えることで、徐々に減らしていく
肝斑にニードルRFが有効な理由
吉木クリニックでは肝斑治療の第一の選択肢としてニードルRFをすすめています。
(吉木先生)
「シミ治療でよく使われるレーザーはメラニンを焼く手法です。それを肝斑に適用すると、焼くことでメラニンが濃くなってそのまま肌の奥に残ったり、メラニン以外の箇所のダメージになってしまうリスクがあります。
一方ポテンツァなどのニードルRFは、(メラニンを焼くのではなく)メラニンを作り出す基底層に作用し、メラニンができにくい肌の土台を作ることで肝斑ができにくい肌にしていくことが可能です。」
ポテンツァはこれまで難しかった照射治療によって新たな肝斑が作られることのリスクが回避でき、そして、肌表面のダメージを少なくし、肌の奥の基底層に熱を与えることで、基底層を整え、肝斑ができにくい状態に導くことができるため、ポテンツァは新たな肝斑治療の選択肢の一つとして注目されています。
肝斑の治療期間はどのくらいみておくべき?
(吉木先生)
「半年くらいはみておいてほしいですね。治療は月に1回程度、大体5〜6回くらいはやることが多いです。いろんな治療をします。ポテンツァ(ニードルRF)や、エレクトロポレーションなどの導入系や、トラネキサム酸などの飲み薬なども併用することもあります。
さらに自宅でのお手入れや紫外線対策も上手にやってもらって。
肝斑は日焼けにより色素沈着してしまうと取るのがかなり厄介になるので、しっかり日焼け止めは塗っておきましょう。」
肝斑とシミ治療両方ある場合、どういう順番?
実際にクリニックに訪れる方は、肝斑が気になってという方はそれほど多くなく、ほとんどの場合他のシミなどが気になって来院する場合が多いそう。
本人が気にしているシミだけではなく、同時に肝斑もある状態の場合、どのように治療をしていくのがいいのでしょうか。
(吉木先生)
「肝斑とそれ以外のシミがあったら、肝斑を優先して治療するのがいいでしょうね。肝斑よりもシミの方が気になっている患者さんが多いのですが、だからと言ってシミ治療のためにレーザー照射やIPL照射などを行うと、かえって肝斑が濃くなってしまうことがあるんです。肝斑は刺激しすぎないよう微妙な匙加減で行います。根気よく通っていただくことで肝斑のできにくい状態を作っていけます。」
(吉木先生)
「また、肝斑に炎症性色素沈着などが重なるとポテンツァだけではなかなか厄介です。そういう時に導入系(エレクトロポレーション)を使います。
エレクトロポレーションはニードルRFよりも穏やかなので、先にそれをやって少し改善してからニードルRFに移行します。」
40代くらいの人がシミや肝斑予防として気をつけることは?
・紫外線対策はマスト
・過剰にならない程度の上手な保湿
・体の中から健康に
ホルモンバランスとか自律神経とか乱れやすい。うまく更年期時期を乗り越えるには健康であることが重要と吉木先生はいいます。
(吉木先生)
「薬も今いいものがありますが、普段の基本的な健康管理することが大事ですね。美容のためにサプリやお化粧品が色々とあって、人気と聞くとつい衝動買いしてしまうと思いますが、食べ物こそ肌にとても影響しています。
ラットの実験で、腸内環境がいいラットの方が紫外線の影響を受けにくいという研究結果があります。つまり、しっかりとした食事を摂っていると肌にシミができにくいんです。まずは基本的な食事や運動、睡眠は意識してみた方がいいですね。」
治療+セルフケアで肝斑対策を!
肝斑はそれほどアグレッシブな治療法でなくても数回で改善できるということがわかりました。また、治療法と普段のケアや生活習慣によってある程度予防できることもわかりました。
ぜひ、綺麗な肌を保つためにも、紫外線対策やスキンケアだけでなく、食事や睡眠も意識してみましょう。
次回の記事では、吉木先生にセルフケアの極意を教えていただきます!
お楽しみに!
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