脂肪燃焼には漢方も有効! 防風通聖散の効果とは? 便秘やむくみにも
シンフォニー (38歳)
年齢と共に気になってくるお腹周りの脂肪、昔は履けていたデニムも気がつくと履けなくなっていた経験がある方も多いと思います。痩せたいとは思うけれど、食事制限やキツイ運動はなかなか長続きしないですよね。そんな方におすすめなのが漢方薬です。漢方と言えば、お酒を飲む前に服用して肝臓を保護するウコンの粉末は有名ですが、最近は脂肪を落とす効果があると言われる防風通聖散という漢方がじわじわと人気になってきているようです。今回は脂肪を落とす防風通聖散についてご紹介していきたいと思います。
漢方とは?
漢方について簡単にみていきましょう。
漢方というと中国の医学というイメージがありますが、実は日本独自に発展した日本の伝統的な医学を漢方医学といいます。もちろん漢方の起源は中国ですが、飛鳥時代頃に日本に伝来した中国医学が長い時間をかけて日本独自の発展をとげ、江戸時代頃にその集大成として漢方が始まりました。ルーツは同じですが、中国医学とは異なる医学です。なぜ漢方という名前なのかというと、オランダから伝来した西洋医学である蘭方と区別するために、日本の医学を漢方と名づけました。ちなみに中国の伝統医学は中医学(中薬)と呼びます。
漢方医学で処方される薬を漢方薬といいますが、漢方薬は自然に存在している植物などを少なくとも2種類以上組み合わせて作られます。原料となる植物や鉱物は生薬と呼ばれ、例えば葛根湯でおなじみの葛根や高麗人参は生薬のひとつです。数多くある生薬のうちどれとどれを組み合わせればどんな効果がでるのか、あるいは副作用など悪い効果が出る組み合わせはないのか、という何千年という長い時間をかけた経験をもとに、漢方薬の処方は体系化されていきました。
漢方の特徴
漢方薬は症状そのものを改善するというよりも体質を改善することを目的として服用されることが多いです。例えば西洋薬の場合、頭痛がする人には鎮痛剤を処方したり血圧が高い人には血圧を下げる薬を処方したりと症状によって処方される薬が決まっていますが、これは西洋薬が基本的に一つの有効成分でできているため、ある特定の症状に対して効果を発揮するからです。一方で漢方薬はある特定の症状に効果があるというよりも、数種類の有効成分を組み合わせて症状の原因となっている体質を改善していこうとする意味合いが強いです。患者の体質や体型によって処方される薬が変わってくるため、同じ症状を訴える人でも処方される薬が違うということもあります。このように、漢方の特徴は患者の体全体をみるという所にあります。そのため患者ひとりひとりの体質を診断する必要がありますが、この体質のことを「証」と呼び、証にもとづいてその証にあった漢方薬が処方されます。
西洋薬と漢方薬のどちらが優れているという訳ではなく、患者の病状によってより最適なものを医者が処方してくれます。例えば、骨折の痛みには即効性のある鎮痛剤を処方した方がよいでしょうし、慢性的な肩こりといった症状を改善したい時には漢方薬のほうが向いているかもしれません。
現在の医療現場で保険適用の薬として厚生労働省に認められている漢方薬は148種類あり、西洋薬と合わせて漢方薬を処方する医者も増えているようです。
防風通聖散とは
それでは、最近人気になってきている防風通聖散とはどのような漢方薬なのでしょうか?防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)はその名の通りボウフウというセリ科の植物を始め、桔梗、芍薬、薄荷、生姜など18種類もの生薬が配合された漢方薬で、中国で1172年に書かれた「宣明論」という医学書で処方されたのが最初と言われています。防風通聖散という名前は聞きなれなくても「ナイシトール」という商品名は聞いたことがある方も多いと思いますが、「ナイシトール」は防風通聖散を商品化したものです。それ以外にも様々なメーカーから市販の防風通聖散が販売されていますが、第二類医薬品のため病院だけでなく通販やドラッグストアでも購入できますので、手に入れやすく続けやすい薬です。
・効能は?
防風通聖散には体を温め、便通改善と利尿作用によって老廃物の排泄を促して体のバランスを整える作用があります。この漢方薬が効果のある証は、体力があり腹部の皮下脂肪が多い、いわゆる脂肪太りの方、そして便秘ぎみの方に効果を発揮します。
お腹の脂肪の分解と燃焼に効果があると言われ、肥満症に適応する薬剤として処方は保険適用にもなっています。また、下剤の成分をふくんでいるため便通が良くなることに加え、食事によって体内に入った脂質を便と一緒に排出する効果があるようです。また脂肪を落とす以外に、高血圧や肥満に伴う動悸、肩こり、のぼせ、むくみなどにも効果があります。高血圧と肩こりなど、まったく関係のない症状に効くように思えますが、どの症状も肥満症体質の方に起こる症状です。症状を個別に見るのではなく、体質によって起こりうる症状をその体質を改善することで総合的に治療するというのが漢方の考え方です。
気になる効き目ですが、防風通聖散は保険適用にもなっているれっきとした医薬品ですから、健康食品やサプリメントに比べると、一定の効果が得られるようです。
その一方で、サプリメントとは違い、副作用が起こる場合もありますし防風通聖散が体に合わない場合もあります。例えば虚弱体質の方、下剤の効果があるため胃腸の調子が悪い方、冷や汗をかきやすい人には不向きな漢方薬と言えます。また含まれている生薬の一つである麻黄には心臓や血管に負担をかける作用がありますので、心臓病や脳卒中にかかったことがある方など循環器系の持病がある方は服用に注意が必要です。副作用としては、皮膚の発疹・腹痛・間質性肺炎・肝機能障害といった症状が出る場合がありますので、服用には十分注意する必要がありますし、飲み合わせにも注意が必要です。
・日本人向きでもある
日本人は欧米人に比べると肥満の人の割合が少ないですが、それでもBMIが25を超える肥満の人口は2,000万人以上もいます。その中でも、肥満に伴う別の病気を発症する可能性があり治療が必要な場合を肥満症と言います。しかし肥満症に対する保険適応の西洋薬は食欲を抑える薬しかなく、それもBMI35を超えた場合にしか処方されません。しかし防風通聖散であれば、保険適用でBMI値の制限もなく処方してもらうことができます。まさに腹部の内臓脂肪に悩む肥満症の方には最適の薬といえそうです。
最後に
ここまで漢方と防風通聖散についてみてきましたが、漢方がお腹周りの脂肪を落とすのに効果があるということが分かりました。漢方というと薬というよりサプリメントに近いイメージを持っている方も多いと思いますが、保険適用にもなっているれっきとした医薬品ですし、数千年という長い歴史と経験に裏打ちされた、たしかな効果も証明されています。その一方で西洋薬と同じように副作用などもありますので服用する際には医師の指示を守って服用しましょう。
薬だけに頼りきってしまうのは良くないですが、適度な運動やバランスの良い食事に防風通聖散をプラスすることが、頑固なお腹周りの脂肪を落とす近道かもしれませんね。ただし漢方は体質によって処方される薬が決まりますので、今回ご紹介したような体質が原因で肥満になっている方以外は、注意して服用するようにしてください。
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