プラセンタはくすみに効果的? サプリとコスメの効能の違いは?
YATA
美肌づくりだけでなく健康面もサポートする成分として大きな注目を集めているプラセンタは、くすみを改善したい人にとっても、きっと強力なサポーターになってくれることでしょう。
サプリやコスメなどさまざまな製品に使われているプラセンタですが、一体どんなものなのか、サプリとコスメでは効果に違いがあるのかなど、プラセンタのことを具体的に理解しているという方は少ないかもしれません。
そこで今回の記事では、プラセンタがくすみに効果的な理由や、サプリとコスメの違いなどについて詳しくご紹介していきます。
くすみが起きてしまう原因
そもそもなぜお肌がくすんでしまうのでしょうか。まずは、多くの女性を悩ませるくすみの原因について確認してみましょう。
①角質肥厚(かくしつひこう)
角質肥厚とは、ターンオーバーの乱れなどにより通常自然にはがれ落ちるはずの古くなった角質が蓄積してしまった状態のこと。古い角質が厚く重なることで、肌の透明感が失われ、くすみの原因となってしまいます。
②メラニンの蓄積
メラニンの過剰生成やターンオーバーの乱れが原因で、本来なら排出されるはずのメラニン色素が肌に沈着してしまうことによってもくすみは生じます。メラニンは、紫外線だけでなく睡眠不足や過度なストレスが原因となって活性酸素が発生することでも作られてしまいます。
ちなみに、このメラニン色素の沈着が肌の一部で集中的に起きてしまうと、いわゆるシミとなってしまいます。
③血行不良
「血色が良い、悪い」という表現がありますが、顔の血行不良もまた、お肌を青暗くくすませる原因となってしまいます。また、血液の流れが滞ると、肌に必要な栄養分が細胞に行き届かず、ターンオーバーも乱れがちに。それは角質肥厚やメラニンの蓄積にもつながってしまいます。
血行不良は、運動不足や睡眠不足、過度なストレス、偏った食生活など生活習慣が原因で起きることが多くなっています。
④肌の乾燥
肌が乾燥すると肌表面にある角質層がケバだった状態になり、キメも乱れます。この状態で光を受けると、乱反射して影を落とし、お肌をくすませるのです。また、肌の乾燥はバリア機能を低下させ、ターンオーバーにも狂いを生じさせるため、肌荒れなどさまざまな肌トラブルの原因となることでも知られています。
このように肌のくすみの原因はいくつもありますが、くすみを解消するためにはターンオーバーを正常に整えることが、非常に大切です。角質肥厚もメラニンの蓄積も、ターンオーバーが正常に行われていれば起こりにくいのです。
プラセンタには肌のターンオーバーを正常に整える働きや、血行を促進する働きがあり、さらに肌を乾燥から守る天然保湿成分NMFの原料であるアミノ酸も豊富に含まれています。
*最近話題の糖化による黄ぐすみとは?
糖化による黄ぐすみは、最近知られるようになってきたくすみです。糖化とは、糖質の摂りすぎによって体内のたんぱく質と糖質が結合してしまう現象のことで、老化物質AGEs(エージーイー)を作り出すと言われています。このAGEsは、黄色っぽい色をしているため、肌が黄色くくすんでしまうことがあるのです。糖化による黄ぐすみは解消することが難しいと言われており、糖質の摂りすぎに注意するといった予防が大切です。
プラセンタがくすみに効果的な理由
プラセンタがくすみに効果的な理由は、プラセンタに含まれる豊富な栄養素とさまざまな作用によるものです。なかでもくすみに効果的な作用として、細胞を活性化して新陳代謝を促進させる作用や、活性酸素除去作用、血行促進作用、ホルモン分泌調整作用などがあります。
こうした働きにより、プラセンタは現在のところ約20種類ほどしかない美白有効成分のひとつとして厚生労働省に認可されています。美白有効成分とは、メラニンの生成を抑えたり、シミやソバカスを防ぐ、あるいはこれと類似した効能の表示が許可された成分のこと。しかもプラセンタには、この他にも美容や健康に良いとされる働きがたくさんあると言われています。
このようなたくさんの効用を持つプラセンタとは一体どんな成分なのでしょうか。
プラセンタとは
プラセンタ(Placenta)とは、直訳すると英語で「胎盤」を意味します。哺乳類の赤ちゃんと母体をつなぐ重要な器官である胎盤には、さまざまな栄養素がたっぷりと含まれています。この胎盤から抽出した「プラセンタエキス」のことを一般に「プラセンタ」と呼んでおり、サプリやコスメには豚由来や馬由来のプラセンタが使われています。
では、この胎盤から抽出されたプラセンタとはどのようなものなのか、詳しくご紹介していきましょう。
プラセンタの歴史
プラセンタの歴史は古く、古代ギリシャ時代にヒポクラテスが治療に使用していたという記録が残っていたり、古代エジプトのクレオパトラが若さを保つために愛用していたとも伝えられています。漢方においては乾燥させた胎盤を原料にした紫河車(しかしゃ)という漢方薬があったりと、洋の東西を問わず古くから胎盤が治療薬や民間療法、あるいは美容のために活用されてきたことは間違いありません。
ほとんどの哺乳動物の母親が、出産後に自分の胎盤を食べる習性があるのは、出産によって低下した体力を回復させるためだと言われています。こうした哺乳動物たちは、本能的に胎盤の持つパワーのことを知っているのでしょう。
そして近代的な研究によってプラセンタの成分分析が行われるようになり、さまざまな働きが科学的に解明されてきました。日本でも昭和30年代頃から更年期障害や乳汁分泌不全の治療薬として利用されるようになり、肝機能障害の治療にも利用されています。最近では(自由診療ではありますが)美容医療の世界でも大きな注目を集めています。
そして近年になってさらに研究が進み、美肌効果や代謝を促進させる働きなどが次々と解明され、医薬品分野だけでなく健康食品やサプリメント、化粧品など幅広い分野で利用されるようになりました。
プラセンタに含まれる成分
体内での赤ちゃんの驚異的な成長を支える胎盤。その胎盤から抽出されるプラセンタエキスには、数十種類ものアミノ酸やビタミン類、ミネラル類、酵素や核酸、そして細胞再生因子(グロースファクター)など、さまざまな成分が含まれています。
・アミノ酸
アミノ酸は、私たちの体を作るたんぱく質のもととなっており、お肌だけでなく髪や爪、臓器や血液、筋肉などの体内の全ての器官の材料です。健康で美しいお肌づくりのために、たんぱく質が欠かせないことはよく知られていますよね。またアミノ酸は、角質細胞内にあるお肌の潤いを保つ天然保湿成分(NMF)の主原料でもあります。
プラセンタには、私たちが体内で合成することのできない必須アミノ酸をはじめとして、たくさんのアミノ酸が含まれています。
・ビタミン類・ミネラル類
ビタミン類やミネラル類には、体の生理機能の調節や代謝をスムーズにする働きなどがあり、美容と健康に欠かせない成分です。体内で生成することができないので、食べ物から摂取する必要があります。現代に暮らす私たちに不足しがちな栄養素のひとつです。
・酵素類
酵素には、消化酵素と代謝酵素があり、食べ物の消化・吸収・排泄から、細胞の再生、呼吸、運動など、生命活動に大きな役割を果たしています。体内の酵素が減少すると、消化や代謝の力が弱まり、免疫力の低下や肥満、肌トラブルなどが起きやすくなると言われています。
・核酸
核酸には、DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の2種類があります。DNAは遺伝子情報の伝達を行い、RNAはその情報をもとにたんぱく質を合成します。新陳代謝を促したり傷ついた遺伝子を修復する働きがあり、新しい細胞を作り出すのに必要不可欠な成分です。体内で合成されますが、年齢とともに減少するため、食べ物など外部から摂取することが重要となってきます。
・成長因子(グロースファクター)
成長因子は、細胞増殖因子やグロースファクターとも呼ばれ、その働きの違いによりHGF(肝細胞増殖因子)やEGF(上皮細胞増殖因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)、NGF(神経細胞成長因子)などの種類があります。おなかの中の赤ちゃんの生命維持や驚異的なスピードでの成長を支えているのが、この成長因子であり、胎盤には豊富に含まれていることがわかっています。
胎盤から抽出されるプラセンタにも、この成長因子が含まれており、細胞を活性化させ、肌の新陳代謝を促進させる働きが期待できます。この成長因子が含まれていることは、プラセンタが美肌やアンチエイジングに効果的な成分として注目される大きな理由のひとつです。
上記以外にも、プラセンタには代謝活性化や消炎作用、抗酸化力のある「活性ペプチド」や、保湿効果のある「ムコ多糖体」など豊富な成分が含まれています。なかでも細胞の増殖を促す細胞再生因子はプラセンタの最も特徴的な成分だと言えるでしょう。
実はプラセンタには、さまざまな有効成分が含まれていることがわかっていますが、それぞれの成分の含有量や、どの成分がどんな作用をもたらすのかについて、はっきりとは解明されていません。しかし多くの研究者によって、プラセンタにはくすみを改善する美白作用以外にも、免疫力アップや、疲労回復、自律神経調節などさまざまな働きがあることが明らかにされています。
プラセンタの持つこうした作用がお互いに良い相乗効果をもたらすことで、くすみを改善する効果だけでなく、お肌や体の健康に良い働きをしてくれると考えられています。
プラセンタの種類
プラセンタには豚由来、馬由来、羊由来、そしてヒト由来など、さまざまな種類があります。以前は牛由来のものも使用されていましたが、狂牛病(BSE)の問題以降、安全性への懸念から日本国内において牛プラセンタは製造されていません。
では、それぞれの特徴についてご紹介していきましょう。
・豚プラセンタ
サプリメントや化粧品の原料として、最も多く利用されているのが豚プラセンタ。豚は飼育数も多く年に2回出産するため、供給量も安定していて、人間の体とも親和性が高いと言われています。なかでも衛生的な環境で飼育され、感染症など特定の菌を保有していないSPF豚の胎盤から抽出されたプラセンタエキスは、一般の豚胎盤よりも高品質な原料として取り扱われています。また、医療機関で処方されるプラセンタサプリの中にも、豚プラセンタが原料のものがあります。
・馬プラセンタ
最近人気が高まっているのが馬プラセンタ。そのほとんどが厳格な管理のもとで育成されているサラブレッドの胎盤から抽出されているため品質への信頼感が高く、含まれるアミノ酸の種類が豊富なことから、美容業界でも注目されています。ただし、馬は豚に比べると流通量が少ないため、価格がやや高い傾向にあります。
・羊プラセンタ
羊プラセンタは、北米やヨーロッパでは人気がありますが、狂牛病に似たスクレイピー病という病気があることから、牛プラセンタと同様に日本国内では製造されていません。少量流通しているようですが、それらは海外からの輸入品だと考えられます。
・ヒトプラセンタ
ヒトの胎盤から抽出されたヒトプラセンタは、医療機関でのみ使用や処方が許可されており、市販の化粧品やサプリに配合されることはありません。医療機関では、更年期症状などの婦人科系疾患や肝機能障害の治療に利用されており、また、保険適用外での美容医療の分野でも使われています。ただし、厚生労働省の通達により、ヒトプラセンタを一度でも注射や点滴などで体内に注入すると、それ以降献血ができなくなります(サプリの場合は、献血の制限措置の対象外)。
植物性プラセンタ・海洋性プラセンタ
他にも、植物の胚芽から抽出した植物性プラセンタや、魚の卵巣膜から抽出した海洋性プラセンタも最近よく目にします。植物や魚類に胎盤はありませんが、哺乳動物のプラセンタと同様にアミノ酸等の成分が豊富に含まれていることから、プラセンタの名前で呼ばれているようです。しかし、植物性と海洋性のいずれのプラセンタにも、成長因子(グロースファクター)は含まれていません。
プラセンタでくすみケアをするには?
プラセンタを使ったくすみケアには、プラセンタ配合のコスメやサプリを取り入れるという方法があります。サプリとコスメで効能に違いがあるのか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
注)繰り返しになりますが、一般に販売されているプラセンタ製品には、豚か馬の胎盤から抽出されたプラセンタエキスが使用されています。
プラセンタコスメとは
プラセンタコスメとは、プラセンタエキスが配合された化粧品のことです。ほとんどの場合、化粧水や美容液などのスキンケア用品のことを指していて、主成分がほぼプラセンタエキスのみのプラセンタ原液と呼ばれる製品もあります。こうしたプラセンタコスメは、美白有効成分であるプラセンタの働きにより、美白効果、保湿効果、新陳代謝の活性化、抗酸化作用といったくすみ改善につながる効果が期待できます。
毎日必ず行うスキンケアに、こうした美白効果のあるプラセンタコスメを取り入れることによって、毎日のスキンケアがくすみのケアになります。日々のスキンケア習慣として自然に取り組むことができるため、続けやすいという点もメリットです。プラセンタコスメは、短期間でくすみ解消の効果が現れるものではありません。肌のターンオーバーが整うまで、少なくとも1カ月以上は続けてみましょう。
プラセンタサプリとは
プラセンタサプリとは、プラセンタエキスが配合されたサプリメントのことです。体にプラセンタを直接摂取することで、内側からの美容ケア、健康ケアを目的としています。そのため、シミ予防やくすみのケアといった美白効果や、肌にハリや潤いを与えて小じわを予防するエイジングケアといった美容面だけでなく、冷え性や更年期の不快症状の緩和、疲れやすい体をサポートするといった健康面でのケアも目的としている商品がたくさんあります。美肌と健康を体の内側からサポートするという点が、プラセンタコスメとの最大の違いだと言えるでしょう。
サプリの場合も、効果を実感するには継続することが大切です。
プラセンタコスメ・プラセンタサプリの選び方
プラセンタコスメといっても、配合されているプラセンタの量は製品によってバラバラです。多くの製品では、美白や保湿効果のある他の成分も一緒に配合されています。成分表示の欄の上位にプラセンタエキスと記載のあるのもが配合率が高くなっていますので、選ぶ際の参考にしてみてください。
特にプラセンタ原液の場合は、原料や製造方法など信頼できる品質のものを選ぶようにしましょう。SPF豚や馬由来のものが安心ですし、メーカーの商品説明などもよく確認してください。
そしてプラセンタサプリは、体の中に直接摂取するためプラセンタ原液と同等かそれ以上に品質に注意を払う必要があります。SPF豚や馬由来であるかどうか、またはJHFA(日本健康・栄養食品協会)の基準を満たしているもの(JHFAの認定マークが表示されています)などから選ぶとより安心でしょう。
プラセンタは安全な成分だと言われていますが、コスメの場合もサプリの場合も、使用方法や使用量をよく確認し、何か異常を感じた場合は直ちに使用を取りやめ、心配な場合は医療機関に相談するようにしましょう。
植物のプラセンタは全くの別物
プラセンタコスメやプラセンタサプリの中には「植物プラセンタ配合」とか「プラセンタ配合」と書かれているもので、原料に植物のプラセンタ由来のものが数多くあります。
植物由来のプラセンタは動物のプラセンタとは全く違い、めしべの根本にある胎座という部分を指します。英語では胎座も胎盤も同じくPlasentaと呼ぶことから、しばしば混同されてしまいます。
植物由来のプラセンタを使用している場合は、保湿成分として配合されているため、いわゆる動物の胎盤由来のプラセンタとは全く別の働きをするものなので、区別するようにしましょう。
最後に
たくさんの有効成分、特に成長因子(グロースファクター)が含まれているプラセンタは、肌のターンオーバーを整え、くすみの改善効果も期待できる頼もしい成分です。
毎日のスキンケアでくすみのケアができるのがプラセンタコスメ、体の中からくすみケアを含めた体質改善までできるのがプラセンタサプリだと言えます。
くすみが気になっている方は、自分の好みや目的に合わせてコスメやサプリでプラセンタによるくすみケアを始めてみてはいかがでしょうか。
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