美容医療で痩せた後はリバウンドしにくい? その理由と医療痩身の種類
なぎ
ダイエットに関心がある人なら一度は耳にしたことがあるはずの「医療痩身」(メディカルダイエット)ですが、近年では美容整形や美容医療に対する敷居が下がっていることも相まって、とても身近なものになりつつあることをご存知でしょうか。
毎年のように新しい医療痩身の手法が開発されており、多くの医療機関が様々な医療痩身を手がけているのが実情です。一方で、たくさんある選択肢の中から自分に適切な手法が何であるかを選ぶのは素人にはやや困難という指摘もあります。
そこで今回は、進化が続く医療痩身について主流とされるものの特徴や、施術後のリバウンドの影響、さらには医療痩身の注意点などを交えて解説します。
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正しい痩身を理解する
そもそも、ダイエットや体重を減らすことに取り組む前に、痩身とはどのような意味なのかを正しく理解する必要があります。医療痩身や独自ダイエットの後にリバウンドを繰り返す人は、体重を落とすことに焦点を当てる傾向があり、科学的または医学的な理解に乏しいとされています。
肥満の概念とは
日本人は医療痩身に取り組む際に「体重」を基準にしがちですが、そもそも体重は身長によっても大きく平均に差が出るものなので、基準にするべき指数があるとすればBMI(ボディマス指数)です。
BMIは以下の計算式で算出でき、日本肥満学会はBMIの数値が25以上であれば肥満に分類されると定義しています。さらに、肥満には1から4のステージがあり、BMIが40以上になると重度の肥満となります。
逆に、女性の場合はBMIが18~20程度であれば美容体型ともいわれ、美容面で目指す一つの目標とすることができます。
【BMI計算式】
BMI= 体重(kg) ÷ 身長(m)×身長(m)
ただし、このBMI指数は筋肉質で体重が重いのか、体脂肪によって重いのかという点は判断できないため、これもまた完全な指標ではありません。
一つの目安として、体重だけを目的にするよりは、より健康的な体や、美しいボディラインを手に入れるための目安として有効であるものととらえておくと良いでしょう。
体脂肪の種類を知る
肥満は体脂肪が多い状態のことを指しますが、必然的に痩身の肝となるのが「体脂肪を減らすこと」になります。体脂肪を減らすためには、体脂肪の特徴を理解することが不可欠です。
一言で体脂肪と言っても、皮下脂肪と内臓脂肪のふたつが存在します。仮に、自身が肥満体質だとした場合、どちらの体脂肪を減らすことに焦点を当てるかが重要になります。この点において、医療痩身では遺伝子検査などを通じて医学的に肥満のタイプや体質的な特徴を分析するため、効率的で最適な痩身に取り組めるのです。
痩身の本来の意味
ダイエット後にリバウンドを繰り返してしまうような人は、生活習慣や食生活に問題がある以外にも、自身の肥満の原因(皮下脂肪の種類)や、自身に適切な医療痩身法やダイエット法を実践できていないことも考えられます。
医療痩身では個々の体質や身体的な特徴に合わせた最適な施術方法の提案が実施されるため、科学的な根拠と医学的な根拠に基づいた痩身の取り組みが可能とされています。これらの背景から導き出される最も大切なことは「痩身とは余分な体脂肪を減らすこと」という思考を持つことです。
医療痩身の種類や特徴
医療痩身はメディカルダイエットとも呼ばれ、医療機関ごとに異なると言えるほどに多くの施術方法やプランがあります。一般的に医療痩身を受ける場合、事前カウンセリングの際に医師によるメディカルチェックが実施され、身体的な負担をかけずに済む個々に見合った施術方法が提案されます。数ある施術方法のなかでも、広く知られているのは以下のようなものがあります。
脂肪冷却(クールスカルプティングなど)
脂肪細胞の脂肪分だけを凍らせて破壊し、数ヶ月かけて体外へ自然に排出することで痩身を実現する方法です。皮下脂肪によって肥満体型になっている人や、特定の部分だけ痩せたいという人に適しています。
クールスカルプティングは麻酔や切開が必要なく、施術による皮膚や血液へのダメージもないため近年では美容医療機関で受けられる「切らない痩身治療」の主流になりつつあります。効果には個人差があるものの、脂肪量の20-30パーセント程度が減少するとされており、通常のダイエットとは異なり脂肪細胞の数そのものを減少させるため、中長期的なリバウンドも起こりにくいと言われています。
クールスカルプティングで使用されるゼルティック(Zeltiq)と呼ばれる痩身治療機器は、2010年にアメリカの厚生労働省に該当するFDA、2017年に日本の厚生労働省による認可を得ていることから、信頼性も高いことが特徴です。一方で、十分な知識を有する医師による施術が使用条件とされているため、担当医の実績や経験が必要な施術方法であることを知っておきましょう。
高周波温熱療法
体内に高周波を流してジュール熱と呼ばれる摩擦熱を発生させて、皮下脂肪と内臓脂肪の代謝を促進する方法です。この方法では、体内温度を3度から5度程度上昇させる(深部加温)ことで脂肪細胞が活性化するとされています。
施術による痛みや火傷の危険性はなく、美肌効果やホルモンバランスの正常化、冷え性の改善など副次的な効果が見込めることも特徴です。ただし、ほとんどの医療機関では効果を実感するまで、5回程度の施術を必要としているため中長期的な通院の計画が必要です。
この方法は、あくまでも代謝の向上によって脂肪の燃焼を目指すもので、脂肪細胞の破壊などといったアプローチではないため、食生活などが改善されなければ元の状態に戻りやすい方法であるといえます。
脂肪吸引法
美容医療では古くから採用されているのが脂肪吸引法です。脂肪細胞をカニューレと呼ばれる吸引用の管を使って吸引することで痩身を実現します。部分痩せやボディーラインの調整などにも用いられており、直接脂肪細胞を物理的に除去してしまう方法であるため、即効性があることも特徴です。
古くから採用されている方法ということもあり、各医療機関独自の手法や独自器材の開発などで差別化が進んでいます。
デメリットとして、未熟な医師の施術などの場合、脂肪を吸引した後に皮膚が凸凹状になることもあるため、痩身の効果よりも熟練した医師による施術や、仕上がりを重視する医師の方が望ましいでしょう。
また、過去には麻酔の取り扱いミスや、脂肪の除去しすぎ、内臓器官を傷つけるなどによって重大なトラブルとなっているケースもあるため、美容医療の中でも特に慎重に医師や病院選びを行う必要がある施術という事ができます。
脂肪溶解注射
注射器を使って脂肪を分解するのに有効な成分を注入することで皮下脂肪を減少させる方法です。分解された皮下脂肪は排泄を通じて排出される事で、痩身効果を期待できます。麻酔や切開は必要なく、極細針の注射を受けるだけなので利便性が高く、施術への抵抗感が少ないのも特徴です。
一般的に脂肪溶解注射には、脂肪細胞を血管に取り出す役割があるフォスファチジルコリンや、L-カルニチンとαリポ酸などの脂肪を燃焼させる成分が含まれています。脂肪溶解注射は極めて手軽である反面で、注射剤の成分の配合や、効果を発揮するための注入法などが鍵となるため、しっかりと効果をだしている医師やクリニックを選ぶようにしましょう。
エンダモロジー
皮膚や脂肪を掴んだり吸引し、さらにはローラーによってほぐすことで代謝を促す方法です。専用の機械を用いることで人の手では掴めない脂肪までもほぐせるため、深い部分にある脂肪細胞までアプローチが可能で、痩身効果が得やすいとされています。
エンダモロジーに使用される器材は、人の手と比較して150パーセント以上多くの脂肪をほぐせるとされています。
エンダモロジーの原理は痩身マッサージと似ていますが、コンピューター制御されているため、隠れた脂肪までもくまなく揉みほぐせます。とくに、皮下脂肪が凝固したセルライトの解消に長けているため、たるみの解消やボディーラインの形成に効果を発揮します。ただし、体重の減少効果は低く、セルライトがある部位では痛みを伴うことがあります。
このように医療痩身には様々な種類がありますが、いずれも体重をおとすという目的ではなく、皮下脂肪の量を減らすことが目的という点で共通しています。また、手軽さや利便性だけを考慮するのではなく、実績を積んだ信頼できる医師や医療機関で受けることも大切です。
医療痩身とリバウンドの関係性
一般的なダイエットは脂肪細胞に蓄積された脂肪を燃焼する事で、脂肪細胞の大きさをを小さくするという方法で痩せていく事を目指します。脂肪細胞は一度小さくなっても、再度脂肪が蓄積されれば大きくなるため、痩せるための生活習慣を終了して、いつもの状態に戻れば、必然的に脂肪細胞が大きくなり、リバウンドが起こります。
これに対して医療痩身の中のいくつかの方法では、脂肪細胞そのものを減らすためリバウンドが起こりにくいとされています。脂肪を蓄積する脂肪細胞そのものが減少する事で、余分なエネルギーがそこに蓄積されにくくなり、太りにくくなるのです。
ただし、消費されるなかったエネルギーは体のどこかに蓄積される事にはなるため、脂肪細胞を減少させた場所以外の部分で脂肪がつきやすくなるという可能性は考えられますので、あくまでも施術を受けた場所のリバウンドがしにくくなるという程度で考えておくと良いでしょう。
医療痩身の注意点
手軽に痩身が出来てリバウンドの確率も低い医療痩身はメリットが多いように思えますが、いくつか注意すべき点もあります。
痩身エステとは別物
医療痩身は「痩身エステ」と混同されがちですが、明確な違いがあります。痩身エステは実質的に無資格のエステティシャンでも施術可能な簡易的なマッサージやトリートメントが中心で、街中にあるエステサロンで提供されています。
ただし、こうしたエステで行える施術はあくまでも「浮腫み」などの一時的な解消となるため、ほとんどの場合において、施術後数日以内には元の体型に戻るとされています。
これに対して医療痩身は医師資格を持った者がカウンセリングと施術を実施し、使用される器材や薬剤も医療用の物が中心です。また、施術方法は医学的な見地や科学的な見解も交えて提案されるため、根拠に基づいた施術を受けられます。
医療痩身だけでは痩せない
医療痩身は医学的なアプローチで体脂肪を減らすことに焦点を当てていますが、施術を受けたからと言って太らなくなるというわけではありません。痩身効果を十分に発揮するために、術後は食事療法、筋力や心肺機能を向上させるエクササイズなど生活習慣を見直すことも求められます。
なかには、生活スタイル改善の方を重要視する医師もおり、施術後の栄養管理やトレーニングプログラムまでも含めたサポートをしてくれる医療機関もあります。施術後の生活スタイルを改善できるかどうかでリバウンドの発生率も変化することを忘れないようにしましょう。
まとめ
医療痩身は一般的なダイエットとは異なり、医学的な根拠に基づき、個々の体質に合わせた痩身が可能になることが大きな利点です。また、体脂肪の数そのものを減らすことからリバウンドも起こりにくい治療が提供されていることも特徴です。
同時に、医療痩身を受ければ痩せるという単純なものではなく、施術後の生活スタイルを改善し、栄養管理や運動などの継続的な取り組みも必要であることも忘れないでください。
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