シリコンバッグで豊胸した際におこる「拘縮」とは?

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豊胸手術による豊胸に関心を持っている人であれば必ずしも聞いたことがあるリスクのひとつが「拘縮(こうしゅく)」ではないでしょうか。拘縮とは豊胸に用いられる人工的なバッグに対する異物反応症状のひとつで、胸が硬くなったり、形が不自然に崩れたりすることが主な特徴です。

人体の異物反応症状であるため個人差もおおきく、その症状は千差万別と言われています。しかしながら、現代の美容整形では拘縮が起こりにくいシリコンバッグなどが開発されており、どの医療機関も拘縮に対する対策には余念がありません。

そこで今回は、シリコンバッグによる豊胸で生じる拘縮について、その特徴やメカニズム、予防法などをご紹介します。

豊胸における拘縮とは?

そもそも拘縮には医学用語の定義としていくつかの種類がありますが、豊胸手術における拘縮とは「皮膜拘縮(ひまくこうしゅく)」と呼ばれるものが対象です。医師によっては皮膜拘縮のことを「カプセル拘縮」と表現する場合もありますが、一般的には皮膜拘縮と呼ばれることがほとんどです。

豊胸手術によって生じる皮膜拘縮は、人工乳腺法という術法によってシリコンバッグや生理食塩水バッグなどの人工乳腺バッグ(別名でインプラントまたはバッグプロテーゼ)と呼ばれる物を挿入した場合に起こることがほとんどで、人体がそれらを異物と判断した場合にコラーゲン繊維の膜を形成することで生じます。

コラーゲン繊維の膜が過剰に厚みを増したり、硬くなると触感で分かるほどの「しこり」のような状態になり、放置しておくと乳房の形状が不自然になります。この結果、乳房の形状に左右差が生じたり、本来の柔らかさを失った乳房になるのです。拘縮はこのような乳房に直接的な影響を与えることから豊胸手術のリスクとして広く知られています。

皮膜拘縮の特徴

皮膜拘縮はシリコンバッグなどの人工乳腺を使った豊胸における最大の難点と言えます。シリコンバッグなどに対する異物反応症状は人によって差があるものの、統計上では30人から40人にひとりの割合で皮膜拘縮が発生するとされています。

また、皮膜拘縮は豊胸手術後の3ヶ月から1年以内に発生することがほとんどで、術後から3ヶ月間を目安にして、月に一度は主治医に診てもらうことが理想とされています。仮に、皮膜拘縮が認められて乳房の形状や触感に支障が及ぶ場合は、バッグの除去を検討する必要があります。

ただし、このような状況を回避するために皮膜拘縮が起こりにくいシリコンバッグの採用や、皮膜拘縮を防ぐマッサージなども確立されていることも事実です。従って、皮膜拘縮は人体の自然な反応の結果であり、あらかじめ発生リスクを抑えられることでもあることを理解しておくと良いでしょう。

皮膜拘縮が生じるメカニズム

シリコンバッグなどを使った豊胸手術の最大のリスクでもある皮膜拘縮ですが、その発生は人体の異物反応症状によるものです。

豊胸のためにシリコンバッグや生理食塩水バッグを挿入すると生体はそれらを異物として認識します。この際にシリコンバッグ周辺の細胞は炎症を起こし、この炎症がさらに広がらないようにコラーゲン繊維の皮膜がバッグを取り囲むようにして形成されます。この状態がカプセル状に見えるため別名で「カプセル拘縮」と呼ばれる由来になっています。

バッグを取り囲むようにして出来た皮膜はそれ自体を包み込もうとする力が働くため、厚みや硬さが増すようになります。この結果、皮膜がより一層の強度を持つようになり、硬く収縮しシリコンバッグの形状が崩れるまでになるのです。

石灰化との違い

皮膜拘縮が起こるとテニスボールのような硬く縮まったような乳房になると言われています。触った時に「しこり」として認識できるほどになることもありますが、同様の症状として「石灰化」もあることを覚えておきましょう。

石灰化はシリコンバッグなどのインプラント周辺の細胞組織が壊死した結果起こる現象で、壊死した細胞を皮膜が包み、それらにカルシウムなどが付着して塊状になることで「しこり」になります。

豊胸手術では皮膜拘縮と石灰化をまとめて「しこり」と表現することが多く、厳密には違いがありますが、いずれも乳房を不自然な形状にする塊状のものであることを知っておきましょう。

皮膜拘縮を防ぐために出来ること

人工乳腺法による豊胸手術において皮膜拘縮は最大のリスクではあるものの、現代の美容整形においては、あらかじめリスクを抑制する技術や道具が開発されています。これらを活用することで皮膜拘縮は未然に回避できると考えられます。

皮膜拘縮が出来にくいインプラント

一般的にインプラントと呼ばれる人工乳腺バッグは、世界中の医療機器メーカーが絶えず皮膜拘縮が出来にくい構造の物を開発しています。豊胸手術にあたり、医療機関がどのようなインプラントを使用するのかを見極めることで、術後に皮膜拘縮が発生する可能性を抑制できると言えます。

具体的には、インプラントの表面加工が重要とされており、ザラザラした感触のテクスチャードタイプか、サラサラしたスムースタイプに二分されます。テクスチャードタイプは皮膜拘縮が出来にくいとされていますが、仕上がりが硬くなることが特徴で、スムースタイプは自然な仕上がりになるものの、皮膜拘縮が起こりやすいとされています。

各医療機関によって取り扱うインプラントについては異なるため、カウンセリング時にどのようなメーカーの製品を使用するのかを提示してもらい、皮膜拘縮が起こる確率なども合わせて説明してもらうようにしてください。医療機関の言うままにせず、インプラントの選択が皮膜拘縮を防ぐ第一歩と認識しておきましょう。

定期検査

一般的に皮膜拘縮は術後3ヶ月から1年以内に起こることがほとんどと言われています。医療機関によっては術後の定期検診を実施している場合もあり、皮膜拘縮の進行状態の確認を始め、乳がん検査、豊胸手術の術後経過などをくまなく調べてくれます。

豊胸手術を検討する時点で術後の定期検診を実施してくれるかどうかや、その検査内容に皮膜拘縮も含まれているかどうかを確認することで、術後の安心感を得られることを覚えておくと良いでしょう。

皮膜拘縮が出来てしまった時の対処法

豊胸手術による皮膜拘縮は一定の割合で発生することは否めません。残念ながら術後に皮膜拘縮が出来てしまった場合は、以下のような対処法を検討する必要があります。

マッサージ

現代の医学界では明確な根拠はないとされていますが、術後1ヶ月頃を目安に乳房をマッサージすることで皮膜拘縮を予防または解消できるとする医療機関もあります。

マッサージが皮膜拘縮の予防に有効かどうかは医師によって見解が分かれるため、担当医に指示を仰ぐ必要がありますが、皮膜拘縮の改善に繋がるひとつの手段として覚えておくといいでしょう。

インプラントの抜去

皮膜拘縮が起きた場合、根本的に解決をするとなるとシリコンバッグなどのインプラントを抜去することになります。当然ながら豊胸効果はなくなってしまいますが、皮膜拘縮による不自然な乳房からは解放されます。

豊胸手術を受けた医療機関とは別の医療機関でシリコンバッグの抜去を受ける「他院修正」などの方法が一般的です。この場合、バッグの抜去だけでなく、同時に再び豊胸手術を受けるケースが多いとされており、多くの医療機関ではバッグの除去と再豊胸手術をセットにして提供している傾向があります。

外科的治療

一度インプラントを取り出して拘縮した皮膜を取り除いたり、切開して皮膜を広げる方法です。皮膜拘縮の進行状況や状態によって術法は異なりますが、切開を伴うひとつの解決法として知っておくと良いでしょう。皮膜拘縮の再発や切開痕が残ることなどを考慮すると、インプラントの抜去の方が無難と考える医師もいます。

まとめ

シリコンバッグなどを使った豊胸手術は確実性や自然な印象が得られるため、現代でも主流の豊胸手術のひとつです。一方で、本来は人体には存在しない異物を使った豊胸法であることも事実です。この結果、皮膜拘縮のリスクは回避できないことと理解し、皮膜拘縮を未然に防ぐための努力が求められます。

そのためには正しい知識を身につけて、医師と一緒に皮膜拘縮のリスクを最低限に抑える道を選ぶ必要があると言えるでしょう。

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