次の流行? クリームであらう"泡立たないシャンプー"の良さとは
YATA
久米 直樹(unsarto)
が監修しています
毎日しっかりシャンプーしているのに、頭が痒くなったり皮脂でべたつくという人。それは皮脂が落とせてないのではなく、皮脂を落とし過ぎている事が原因かもしれません。
髪を洗いすぎない“欧米式”のケア方法にならった泡立たないシャンプーなら、そんな悩みを解決できるかも!
最近ではシャンプーではなくクレンジングクリームを利用した「ノーシャンプー」が増えてきていますが、泡立たないシャンプーの何がヘアケアに効果的なのか、そのメリットとより良い取り入れ方を紹介します。
ノーシャンプーは欧米でもブームに
ノーシャンプーとは、言葉通りシャンプーを使わないで頭皮ケアを行うという習慣を指したもので、略して「ノープー」とも呼ばれます。
なぜシャンプーを使わないケアを行うかというと、そもそも皮脂は肌のケアに必要だから分泌されている成分であって、シャンプーによって皮脂を取り除きすぎる事は頭皮のトラブルに繋がってしまうという考えから、ノープーが取り組まれるようになってきました。
シャンプーを使わずにお湯のみでシャンプーをする湯シャンは日本でも一部で話題となりましたが、ハリウッドセレブなどもノーシャンプーを実践している事などから、ナチュラル指向でのヘアケア方法として定着してきています。
最近ではノーシャンプー=従来の泡立てて使うシャンプーを使わないというようなイメージになっていて、ロレアルパリから発売された「ラ クレム ラヴォン」をはじめとして、シャンプーではなく泡立たないクレンジングクリームを頭皮に揉み込むように使う事で、頭皮ケアを行うというものが増えてきています。
そもそも日本でシャンプーを毎日使うようになったのは最近の事
そもそも、歴史を振り返ってみればシャンプーを使って髪を洗うという習慣が毎日行われるようになったのはつい最近の事で、江戸時代には洗髪が月に1〜2回、昭和の頃でも、高度経済成長期に伴って「5日に1度はシャンプーを!」という広告が行われていた時代があるほど、日常的にシャンプーをするという文化はありませんでした。
現在のように毎日シャンプーをしなければならなくなった背景には、食生活が欧米化して皮脂が多く分泌されるようになったことや、ストレス社会による皮脂の過剰分泌といった頭皮環境の変化。
更にはスタイリング剤の利用が普及する事などによって、日本人が元々持っていた髪質も変化した事もあって、十分なヘアケアを行う事が必要になってきたからという経緯があります。
しかし、こうした流れで行われるようになったヘアケアも、今度は皮脂を始めとした頭皮の保湿成分を過剰に除去しすぎてしまうという別の問題が発生し、これが頭皮の様々なトラブルの原因に。
そこでヘアケアの手法として改良を加えられて出てきたものが、皮脂を除去しすぎずに頭皮を洗う「泡立たないシャンプー」なのです。
泡立たないシャンプーのメリット
クリームによる「泡立たないシャンプー」を利用するメリットは下記のようなものがあります。
頭皮に適正な油分を残して過剰な皮脂の分泌を抑制する
皮脂というと毛穴に詰まるなどトラブルの原因としての印象が強いですが、人体にとって安全性の高い天然の保湿成分でもあります。また、皮脂以外にも健康な頭皮であれば皮膚の中にセラミドなど保湿成分が豊富に含まれています。
従来のシャンプーは、洗い上がりをスッキリさせて髪の立ち上がりを良くするような点に重点を置いたものも多く、脱脂力の強い界面活性剤によって頭皮の油分をきれいに落とす事を主眼として開発されてきました。
しかし、こうしたシャンプーは、本来頭皮の保湿に必要な油分や、頭皮の保湿成分まで洗い流してしまい、頭皮が乾燥しやすくなる事が、頭皮トラブルの原因の一つとなってきているという事が分かってきた事から、頭皮に適正な油分を残しつつ洗うためのシャンプーとして、泡立たないシャンプーが開発されてきています。
泡立たないシャンプーは、界面活性剤にて油分を浮かして流すのではなく、頭皮の油分をクレンジング成分で乳化させてマイルドに流すため、頭皮に必要な油分が残り、過剰な皮脂の分泌を抑制。健康的な髪の毛の育成を行う事が可能となります。
また、頭皮に皮脂やクリームの油分が残る事は、頭皮の健康に良いというだけではありません。
油分は髪のツヤや、まとまりにも重要な役割を果たしているため、適正な油分が残る事で、髪はごく自然なつやをもつようになるだけではなく、髪の根元の立ち上がりを自然な状態にして、まとまりのあるヘアースタイルへ導いていくという事も可能になります。
強く摩擦しなくなるため髪のダメージを回避できる
正しいシャンプーのやり方は、指の腹を使って揉み込むようにシャンプーを馴染ませ、洗い流すというもの。
しかし、泡立ちの良いシャンプーではどうしても「洗っている」感を得ようと、ゴシゴシと擦るようにシャンプーをしがちになって、その摩擦が髪へのダメージに繋がりやすくなっています。
泡立たないシャンプーの場合、泡立ちを気にする事なく頭皮のケアに集中しやすくなるため、自然と正しいシャンプーの方法を実践しやすくなって髪を健康に保ちやすくなるといえます。
頭皮マッサージを同時に行える
脱脂力の強いシャンプーでは、泡立てたらしっかりと頭皮をマッサージする前に手早く洗い流してしまいがち。
その一方、「泡立たないシャンプー」であれば、そもそもが頭皮にしっかりと揉み込むように利用する設計のため、しっかりと頭皮のマッサージ効果も得やすくなり、頭皮の環境改善が自然としやすくなります。
髪にダメージを与えないためトリートメントなどが少なくすむ
通常のシャンプーでは、強い脱脂力が髪の美容成分流出の原因となったり、前述のように髪は摩擦刺激によってキューティクルへのダメージなどを与えやすくなったりします。
泡立たないシャンプーはこのようなダメージを回避する事で髪が傷みにくくなるため、トリートメントなどのケアが少なくすむようになります。
泡立たないシャンプーのみでもケアが済むようになる事で、ゴミの軽減や時短ケアになるという事もメリットの一つです。
泡立たないシャンプーの課題点・デメリット
以上のように、泡立たないシャンプーは頭皮環境や髪質を改善していくという豊富なメリットがあり、それこそ今後は従来のシャンプーがいらなくなるようなポテンシャルを秘めていると言えます。
しかし、だからといって泡立たないシャンプーには全く問題点が無いかというと、そういうわけではありません。
デメリット部分まで含めてしっかりと理解して、適切な取り入れ方を考えるようにしましょう。
使い方が雑だと頭皮ケアが不十分になりやすい
従来のシャンプーと比べ、頭皮をマイルドに洗えるよう設計されている泡立たないシャンプー。
一般的な泡立つシャンプーのように強力な界面活性剤によって強制的に皮脂汚れを除去するものではないため、泡立たないシャンプーを使用する際は、従来のシャンプーのように多少雑な洗い方をしても皮脂汚れを除去しやすいものではなく、しっかりと皮脂に馴染ませて洗う必要があります。
イメージで言えば、従来のシャンプーはオイルクレンジングで、メイクに少し馴染ませただけで落とせたのに対し、泡立たないシャンプーはクリームクレンジングのように、じっくりと馴染ませないと汚れを綺麗に落としにくいといえます。
そのため、シャンプーを雑に行ってしまうと皮脂や汚れが除去しきれず、かゆみやカブレなどのトラブルに繋がってしまう事もあります。つまり、シャンプーをじっくり丁寧にやりたくない、手早く済ませたいという人には向いていないといえます。
逆に言えば、泡立たないシャンプーは、丁寧に、マッサージをしながらしっかりと皮脂と馴染ませるように使うことで、髪をいたわってより綺麗な髪にしたいという人にとってたくさんのメリットを得られます。クリームシャンプーや泡立たないシャンプーは、正しい使い方を守りましょう。
商品によっては頭皮への刺激となる成分が入っている場合も
頭皮の環境を整えるために泡立たないシャンプーに切り替えても、配合されている成分が頭皮の刺激となるものであれば意味はありませんよね。
泡立たないシャンプーの中には、洗浄力が弱く皮脂などが残っても頭皮で雑菌が繁殖しないよう、抗菌剤などが配合されているものもあります。抗菌剤は人によっては刺激が強く感じる場合があるため、こういった商品の利用を継続していれば、体質にもよりますが頭皮トラブルが引き起こされる可能性も。
せっかく頭皮への刺激が少ないものを選ぶのであれば、細かい成分までしっかりと拘って頭皮に優しいものを選ぶようにしましょう。
スタイリング剤などを使用している場合は洗浄状態の把握が難しい
ヘアワックスなど、油脂成分で髪を固めるスタイリング剤を使っていると、洗浄成分がそちらを落とすのに使われてしまい、頭皮の汚れまで落としきれなくなってしまうという場合があります。
泡立ちの良いシャンプーであれば洗浄成分がしっかりと働いていれば綺麗に泡立ち、そうでない場合は泡が中々出てこないので頭皮の洗浄度合いが把握しやすいのですが、泡立たないシャンプーの場合は見た目に違いが無いためその判断がしにくくなります。
スタイリング剤を軽く使う程度であれば問題ないのですが、多めに使う人の場合は汚れが残り過ぎる事のトラブルも問題なので、頭皮がしっかり洗えていないと感じるようであれば、通常の泡立つシャンプーを利用した方が良いとも言えます。
使い慣れるまでは、ヘアスタイリング剤の使用の有無によって、シャンプーの使い分けをするのもいいでしょう。
泡立たないシャンプーの上手な使い方
泡立たないシャンプーは従来のシャンプーと異なり、シャンプーに含まれるクレンジング剤をよく皮脂と馴染ませ、乳化させる必要があります。
イメージとしてはメイクのオイルクレンジングと一緒で、ゴシゴシ洗うのではなく丁寧になじませる事で十分な洗浄力を発揮しつつ、頭皮の健康な状態を保つ事ができるようになります。
上手な使い方は、まず初めにしっかりとお湯のみで予洗いを行って、大きな汚れやすぐに落ちる汚れを除去する事までは通常のシャンプーと同じ。
その後は、髪の毛ではなく頭皮全体に対してクリームを塗りこむように広げていき、2~5分程度、ゆっくりと頭皮全体を揉み解します。
頭皮のマッサージとしては、目の酷使によって疲れやすい耳の後ろ側を上に引き上げるようにじっくりと押して、その後こめかみ周辺を指で軽く押さえながら、円を描くようにゆっくりと動かしてマッサージ。最後に、頭頂部分を持ち上げるようなイメージで揉み解すと、頭全体の緊張をほぐしながら、頭皮の血行促進を図れます。
ゆっくりと頭皮マッサージを行いながら洗浄成分を浸透させ、最後にしっかりと成分が残らないように濯げば、シャンプーが完了です。
シャンプーの後はトリートメントなどを利用して髪のケアを行いますが、髪が大きくダメージを受けにくいため毛先部分だけをケアする程度で大丈夫です。
従来の泡立ち重視なシャンプーから泡立たないシャンプーに切り換えると、良くも悪くも洗浄力が弱く感じやすく、使い方を誤ればただ「スッキリしない」シャンプーと思ってしまいがちな面もあります。
しかし、適切に使う事ができれば頭皮環境を整えていくための頼もしいアイテムとなりますので、上手に取り入れていきましょう。
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