プロ美容家も実は知らない? セラミドが保湿に重要な3つの理由
やなぎた
多くのプロ美容家が推奨するスキンケアコスメといえば、セラミドコスメですよね。
でも、色んな人の説明を見たり聞いたりしていると、どうにもセラミドについてきちんと理解している方は少ないように思えます。
今回は、セラミドが何故スキンケアコスメとして優れているのか、保湿に重要な3つの理由を解説します。
セラミドは肌に元々存在するから安全
セラミドがスキンケアコスメとして優れている理由の1つ目が、セラミドが元々肌に存在している成分だから安全という点です。
人が持つ、肌の保湿を担う構造には、角質細胞の間を埋めるようにして保湿を行う「細胞間脂質」と、細胞の内部で水分を維持する「天然保湿因子」、肌表面で水分の蒸発を防ぐ「皮脂」の3つが大きくわけて存在していますが、このうち特に肌の水分維持に重要とされる「細胞間脂質」の50%を占めるものがセラミドです。
保湿成分にも様々なものがありますが、セラミドは元々表皮に多く含まれている成分のため、肌にとって刺激になる事は殆どなく、非常に安全に、安心して利用できるというのが1つめの特徴なのです。
他のオイルなどによる保湿成分は敏感肌の方やアトピーの方には強い刺激となってしまう事もありますが、セラミド(特にヒト型セラミド)であればこういった肌質の方でも刺激なく使う事ができるという事はもちろん、そもそも敏感肌やアトピーといった状態は肌のセラミド不足から引き起こされている事も多いため、症状の改善に繋がりやすいと言えます。
セラミドは脂と水を交互に並べるから高い保湿&防御力を持つ
セラミドの特徴的な働きとしては、セラミドの持つ「親水基(水にくっつきやすい)」と「親油基(脂にくっつきやすい)」の両方を持っている事から、水と脂を交互に並べるようにくっつくというものがあります。
セラミドによって水、脂、水、脂と交互に並べられた状態を肌の「ラメラ構造」といいますが、この構造によって肌がしっかりと保湿されると共に、肌の外側から「水に溶ける成分」や「脂に溶ける成分」の両方をブロックする事で、肌の高い防御力が実現します。
セラミドと界面活性剤はどう違う?
ちなみに、水に溶けやすい「親水基」と油に溶けやすい「親油基(疎水基)」の両方を持っているものとしては、セラミド以外に「界面活性剤」も該当します。
界面活性剤の代表格は石鹸ですが、石鹸は界面活性剤としての働きによって、油汚れが水の中に溶け込みやすい状態にして、汚れを除去するというものです。
しかし、多くの方が知っているように、界面活性剤はむしろ肌にとって悪影響となるケースが多く、肌の保湿成分を減らしてしまったり、肌にとって刺激となりやすいですよね。
セラミドも界面活性剤も、同じような性質なのに何が違うのかというと、それはセラミドはセラミド同士で強固に結び付きやすく「結晶化しやすい」という特徴を持っている点です。
実は、セラミドはセラミド分子同士がくっつきやすく、結晶状態になりやすい性質を持っている事から、水に入れても油に入れても、ダマになって殆ど溶け込みません。
その一方で、水分子と結合した場合には非常に強固な繋がりとなる事から水分保持力が非常に高く、セラミド同士で強くつながって角質層内に存在する事で、強力なバリア機能を発揮します。
界面活性剤にはそういった働きがないため、水分を保持し続けて保湿力を発揮するものではありませんし、角質内の脂質などとくっついて肌から流出させたりします。
セラミドは結晶化しやすく、水にも油にも溶けにくい事から化粧品にも安定した状態で高い濃度で配合する事が難しいのですが、逆にこの作用があるおかげで、肌内部で強力なラメラ構造を作り出し、高い保湿力とバリア機能として働く事ができます。
セラミドは細胞にも強力にくっつく
また、セラミドの持つもう一つの特徴的な性質が、水や脂だけではなく、細胞にくっつくという点です。
セラミドは、細胞膜にくっつく性質がある事から、細胞と細胞をつなぎ合わせる接着剤としての役割も担っていて、表皮の角質層では、連なったセラミドによって細胞が繋ぎ止められ、そのセラミドが水分と油分を交互に並べる事で、強力な保湿&防御機能を実現しています。
角質同士を繋ぎ合わせるセラミドが減少してしまうと、角質がはがれやすくなって肌荒れを起こしますので、やはりセラミドが十分に存在する事が肌にとって重要となってきます。
セラミドが抱える水は乾燥や凍結に対し極端に強い
普通、水は摂氏0度で氷となります。
しかし、人の肌は気温が氷点下以下でも、氷ついてしまうという事はありません。
これはなぜかというと、0度で氷になる普通の水は「自由水」という物であるのに対し、肌にある水分はセラミドと強力に結合した「結合水」という、-40度の温度でも凍らず、極端に乾燥した状態でも蒸発しない状態になっているためです。
セラミドではなくヒアルロン酸などによって保湿を行った場合、肌表面にある保湿成分は単純な「水」を保持しているだけですから、外気が乾燥していればすぐに蒸発してしまいます。
一方、セラミドによってしっかりと肌に「結合水」を増やす事ができれば、その水分は非常に蒸発しにくいため、肌を保湿し続ける事ができます。
以上の3つの性質が、セラミドによる保湿が推奨される点なのです。
肌にとって安全性が高く、他の保湿成分とはその作用が大きく異なるセラミド。
セラミドを有効活用する事が、いつまでも潤いのある健康的な肌を保つために非常に重要であるといえます。
セラミドが発見された経緯を知ると面白い
ちなみに、セラミドが発見されたのは実はつい最近の事で、セラミドが含まれる「細胞間脂質」が明確に分かり、名づけられたのは1985年頃の事。
細胞間脂質はそれまで、「あるのではないか」という意見はあったものの明確に見つける事が出来ず、肌の保湿はおもに「天然保湿因子(NMF)」によって行われていると考えられていました。
天然保湿因子は細胞の中に存在するアミノ酸などで構成された成分の事ですが、肌の水分はこの天然保湿因子が守っているため、洗顔などによってどの程度アミノ酸が流出するかが、保湿力を減少させる原因と思われていたのです。
しかし、ある実験でアミノ酸などの天然保湿因子は全く流出していないのに、なぜか肌が非常に乾燥するようになったという状態が発生し、この原因を研究していった結果、肌からセラミドを主体とした脂質が流出している事が判明。
この脂質を肌に塗って元に戻したところ、肌の乾燥が収まったことから、細胞間脂質という存在が明確な状態となっていったという経緯があります。
こうして偶然存在が確認された細胞間脂質が、今では「天然保湿因子」といういかにも肌の保湿にとって重要な名前がつけられている成分よりも更に重要な保湿成分と認識され、日々研究が進められているのです。
セラミドについては最近になって分かってきたことが沢山あり、とても奥が深いもの。セラミドの事を詳しく知って、より効果的なスキンケアに是非役立てて下さいね。
※記事の正確性については細心の注意を払っていますが、専門家視点からの間違いなどありましたらご指摘頂ければ幸いです
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