肌の潤いがすぐになくなってしまい、乾いてしまう乾燥肌。
乾燥肌の原因は肌に水分が無いからではなく、肌の水分を維持するための油分が無いから。
肌の潤いを保つためには、

１． 肌に充分な水分が与えられる（体内からの水分や化粧水）
２． 肌内部で水分を維持する機能が働いている（NMFや細胞間脂質）
３． 肌表面に水分を閉じ込める油膜がある（皮脂や乳液）

という３つの条件が必要となりますが、乾燥肌の場合は２や３の条件。とくに２番が満たされていない事が多いのです。

NMFや細胞間脂質とは肌の内部で水分を維持している成分。
NMFは天然保湿因子と呼ばれ、肌の細胞の中で水分を保つもの。
細胞間脂質はセラミドなどによって作られ、肌の細胞と細胞の間で水分を保つものです。

この二つの保湿成分が肌の中に十分そろっていると肌は潤いを保てるのですが、生活習慣や加齢によって減少してしまうと乾燥しやすい肌に。
特に、熱いお湯や強い洗浄力を持った洗顔料（界面活性剤）を利用すると、NMFや細胞間脂質が溶け出して減ってしまうため、乾燥肌の原因になるのです。

NMFや細胞間脂質は肌のターンオーバーの中で作られるものであるため、一度減少してしまうと中々回復せず、可能な限り減少を抑える事が重要となります。

一方、皮脂についても生活習慣や加齢によって減少するものですが、皮脂はNMFや細胞間脂質に比べれば分泌されやすい成分。
むしろ、肌が乾燥していると積極的に分泌されやすくなる事があり、肌の表面は皮脂でベトベトなのに、肌内部は乾燥しているというインナードライ肌という状態が発生します。

肌が乾燥して硬い状態に皮脂が多く分泌されると、皮脂が詰まってニキビなどの肌トラブルも引き起こしやすいため、ただ皮脂が多く分泌される事は肌にとってあまりいい事ではありません。

乾燥肌の人が気を付けるべきポイントは、肌内部の保湿成分が流出してしまわないようにする事。
そのためには、

・熱いお湯は使わない（38度程度のぬるま湯が良い）
・肌に残る洗顔料は使わない（保湿成分などが含まれるものより純石鹸を）
・強すぎる洗顔料はNG（オイルクレンジングは避ける）

という点に注意した洗顔が必要となります。

肌が乾燥していると、どうしても保湿成分が豊富な洗顔料に惹かれがちですが、保湿成分が入っているという事は、裏を返せば洗顔料の成分が肌に残るという事。
完全に保湿成分だけが肌に残るのであれば良いのですが、実際には肌へのダメージとなる洗顔料の界面活性剤などの成分も一緒に残ってしまう可能性があるので、洗顔は洗顔、保湿は保湿という形で別々にしっかりケアをした方が安心。
特に肌のバリア機能が低下している乾燥肌の場合は、肌内部に余計な成分の影響を与えないほうが良いので、なるべく純石鹸など洗顔成分だけのものを利用するようにしましょう。

洗顔をした時、ついつい肌がサッパリとした爽快感を求めてしまうもの。
ぬるま湯や優しいクレンジングでは肌がべたついて感じたり、汚れが残っているように感じたりしてしまいがちですが、洗顔で落とすべき汚れや余分な皮脂などは、優しい洗顔でも十分におちています。
逆に、洗顔で肌がつっぱるくらいの強さは肌に必要な保湿成分まで流してしまっている可能性が高いので、最初は少し気になるかもしれませんが、さっぱりしすぎないくらいの洗顔を行うようにしましょう。

乾燥肌の人に限らずですが、洗顔の際に気を付けるべきポイントとして、しっかりと洗顔料を泡立てて利用するようにしましょう。
これは、泡の状態で利用する事で摩擦刺激を減らす事が目的ですが、もう一つの目的が洗浄力のコントロール。
洗顔料を原液そのままで利用すると洗浄力が強すぎてしまう事が多いのですが、しっかり水分や空気を含ませて泡立たせる事で適度な洗浄力に調整され、適度な強さでの洗顔が可能になるので、しっかりと泡立たせる事が必要になります。
そもそも最近の洗顔料は泡立てる事を前提としている場合も多く、泡立ちを良くする成分などが含まれている場合も多くなっています。

また、乾燥肌の場合は肌が刺激を感じやすくなっているため、ごしごしと擦ったりするのはNG。泡立てた洗顔料を優しく押し当てるような感覚で、こすらない洗い方をするようにしましょう。
洗顔料をお湯ですすぐ時も、シャワーを直接あてるのではなく、ぬるま湯を手ですくって優しく流すようにした方が、肌への刺激が少なくなります。

洗顔後は、タオルドライで乾かした後に化粧水などによるスキンケアを行います。

洗顔後はまず、清潔なタオルを優しく押し当てるような形で水分をふき取ります。
十分に吸水力があるタオルを利用すれば、こすったりしなくてもしっかりと水分をふき取る事が可能ですので、優しく押し拭きするくらいにしましょう。

タオルドライの後は保湿のためのスキンケアを行いますが、重要なのは肌内部のケアをしっかりと行う事。
化粧水や乳液、オイルといったスキンケアコスメの多くは、肌への水分補給や表面の油膜という形でのケアになり、角質層内部でのケアは出来ていない場合があります。
角質層内部のケアを行うためには、ヒトセラミドの配合されたコスメや角質層にしっかりと浸透するナノ化されたヒアルロン酸・コラーゲンなどを利用し、表面だけではなく肌内部の保湿も充分に行いましょう。

乾燥肌を改善するためには、洗顔のタイミングも大切です。
洗顔をするべきタイミングは、基本的には帰宅時と起床時の2回です。

まず、外出予定などが完了してメイクが必要なくなったら、なるべく早く洗顔で落としてしまいましょう。
メイクをしていると肌にはどうしても負担がかかってしまいますし、肌本来の保湿機能も充分に働きにくくなってしまうので、理想としては帰宅後すぐに洗顔を行うようにします。
ただし、再度出かけるなど何か予定がある場合は何度も洗顔をしない方がいいので、その日にメイクをしておく必要が無くなったら洗顔するという形が良いでしょう。

起床時も洗顔が必要なタイミングの一つ。
睡眠時に枕などから付着した汚れや、目やになど体内から排出された汚れが付着しているタイミングなので、起床したら洗顔をするようにしましょう。
ただし、起床時の洗顔は表面の汚れを落とすだけで十分なので、洗顔料を利用せずぬるま湯だけでOK。逆に洗顔料を使ってしまうと、睡眠時に作られた保湿成分も洗い流してしまうので乾燥しやすくなってしまいます。
朝の洗顔は眠気をしっかりと覚まして切り替えるという効果もあります。

乾燥肌の場合、洗顔料の選び方のポイントとしては３つ。

・保湿成分などが入っていない
・ピーリングやスクラブなど刺激の強いものでない
・泡立ちやすい

上記を満たすものを選ぶようにすると良いでしょう。

保湿成分が入っていないものを選ぶ理由についてはすでに説明しましたが、肌に残る成分が含まれていると敏感になっている乾燥肌にとっては負担になりやすいという理由で、ピーリングやスクラブを避けるのも肌への刺激を避けるという意味では同じです。
ピーリングやスクラブによる洗顔は表皮を削り取る作用を持っているため、古い角質が増加し肌が厚く硬くなっているようなタイプの方には有用ですが、乾燥肌の場合はどちらかというと肌が薄くなっている場合が多いので、特に注意が必要です。

また、泡立ちやすいものを選ぶ理由としては、洗顔の際にしっかりと泡立てて摩擦を避けながら洗顔を行うためにも、泡立ちやすいものを選ぶ事が便利だから。
泡立たないものはNGといわけではないのですが、泡立たせないで利用する洗顔料の場合、肌への刺激を起こさないようにより注意を払って洗顔するようにしましょう。