埋没毛解消法を紹介する前に、埋没毛ができてしまう理由と、埋没毛による肌への影響について、簡単にお話しておきます。

埋没毛は、皮膚の中で伸びてしまった毛のことを言い、「埋もれ毛」などとも呼んでいます。埋没毛ができるのは、自己処理によって起こる肌のダメージが原因です。
ですので、処理する回数が多い場所や太い毛が生える場所に、埋没毛はできやすくなります。たとえば、ワキやVIO、膝下は、埋没毛ができやすい部位と言えるでしょう。

埋没毛の原因は、ほとんどが自己処理によるものと考えられます。自己処理をすると、肌に傷がついて毛穴が塞がり、埋没毛になるリスクが上がります。

自己処理の中でも、埋没毛になりやすい処理方法は、「カミソリ」「毛抜き」「脱毛テープ」「ブラジリアンワックス」といった処理方法になります。特に、カミソリや毛抜きによる自己処理は、ムダ毛を処理する時に肌が傷つきやすく、毛の生えてくる毛穴が、かさぶたや角質によって覆われてしまうのです。かさぶたに出口を塞がれた毛は、皮膚の外に出られず、皮膚の中で成長します。

特に、カミソリは、使い方を間違えると埋没毛を増やしてしまうので、使い方には十分注意が必要です。ちなみに、埋没毛が増える剃り方は、以下の3つです。

深剃り
カミソリの刃を肌に押し付けて剃る剃り方を、「深剃り」といいます。深剃りはムダ毛だけでなく、皮膚も一緒に剃ってしまいます。

逆剃り
毛の流れに逆らって剃る剃り方を、「逆剃り」といいます。逆剃りをすると、毛穴が開きやすくなります。

空剃り
ムダ毛を処理する部分に何も塗らず、刃を直接素肌に当てる剃り方を「空剃り」といいます。皮膚と毛穴が傷ついてしまいます。

カミソリで肌に負担をかけると、バリア機能が働いて、肌の角質が厚くなり、埋没毛ができやすくなります。刃が古いカミソリもNGです。カミソリを使う時は、埋没毛ができないよう、慎重に処理を行って下さい。

また、お風呂で石鹸やボディーソープを使って、カミソリで処理する人もいるかもしれませんが、入浴後は急激に肌の乾燥が進みます。同時に、カミソリで肌が傷ついているため、バリア機能が働いて、古い角質を溜め込んでしまいます。埋没毛ができやすくなるので、お風呂上がりはしっかり保湿しなければなりません。

1本や2本ならともかく、大量の埋没毛ができてしまうと、やはり見た目が良くありません。放置しても、毛が皮膚の中に埋もれている状態ですから、ほかの毛のように、自然に抜け落ちることはありません。ただし、肌のターンオーバーで、埋没毛が表面に押し上げられ、かさぶたや角質が剥がれると、埋没毛も取れることがあります。

ですが、自然に取れるのを待っていると、色素沈着を起こしたり、しこりができてしまう恐れもあります。

また、埋没毛を無理矢理抜こうとすると、防御反応が働いて、さらに皮膚が硬くなってしまいます。傷口から菌が入ると、炎症を起こすこともあります。

皮膚が腫れあがったり、赤くなるほか、炎症の刺激で痒みや痛みを感じることもあるでしょう。化膿して膿が溜まったり、炎症が強くなると、熱を持つこともあるので、気を付けなければなりません。

一度、埋没毛ができてしまうと、自分ですぐに治すことは難しいでしょう。無理矢理抜こうとする人もいるかもしれませんが、より肌に負担がかかるので、再び埋没毛ができやすくなってしまいます。やはり、一番安心できるのが皮膚科です。

埋没毛とともに、「毛嚢炎」が発症している状態であれば、皮膚科では切開して膿を出したり、抗生剤などを用いて治療することがあります。毛嚢炎は、毛穴の奥に細菌が入って炎症が起きている状態です。痛みや腫れが見られる場合は、皮膚科で診てもらうと良いでしょう。毛嚢炎の症状が軽い場合は、切開せず、患部を清潔に保って様子を見ることもあります。

皮膚科のレーザー脱毛で使用するレーザーは、埋没毛にも届くので、もちろん埋没毛の脱毛も可能です。埋没毛を根本的に解消するのであれば、皮膚科のレーザー脱毛が一番効果的でしょう。ただし、保険適用外となります。

そもそも医療レーザー脱毛は、メラニンの黒い色に反応する特殊なレーザーを照射して、毛を生やす組織にダメージを与える脱毛です。皮膚の中に埋もれている埋没毛であったとしても、見て黒と判別できるようであれば、レーザーで毛根にダメージを与えることができるのです。
皮膚科医のいるクリニックであれば、色素沈着や毛嚢炎といった肌トラブルも、同時に治療を受けることができます。

ただし、あまりにも埋もれ毛が多い場合は、治してからでないと施術を受けられないこともあります。埋もれ毛が多く、肌が悪化している状態だと、痛みを感じたり、効果が出にくいからです。

皮膚科でレーザー脱毛を受ける際は、痛みの少ないレーザーがおすすめです。皮膚科で使われている主なレーザーは、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザー、ダイオードレーザーの3種類です。中でも、痛みが少ないレーザーは、ダイオードレーザーです。

また、ダイオードレーザーを採用している脱毛機は、ショット式のライトシェアデュエット、蓄熱式のメディオスターネクストProやソプラノといった機器になります。ダイオードレーザーは皮膚を冷却しながら照射するので、痛みが軽減されます。

ダイオードレーザーの中でもライトシェアデュエットは、レーザーを照射する際に皮膚が吸引されるため、痛みが抑えられます。ただし、ショット式は蓄熱式よりも即効性がある分、デリケートゾーンなどに多少痛みを感じます。一方、エネルギーをゆっくり蓄積して脱毛する蓄積式の方が、より痛みは軽減されます。

ですので、皮膚科で埋没毛にレーザーを使用する際は、痛みの少ないダイオードレーザーを選ぶと良いでしょう。

たくさんの埋没毛ができてしまうと、自分では簡単に治せなくなってしまいます。
皮膚科に頼る前に、埋没毛を増やしたくないという方は、普段から埋没毛対策をしておく必要があります。

埋没毛対策で最も大事なことは、埋没毛の原因となる自己処理を、直ちに中止することです。
肌に負担が大きい自己処理を続けている人は、肌に負担のかからない処理方法に変えてください。カミソリや毛抜きは肌への負担が大きいため、比較的負担の少ない電気シェーバーがおすすめです。電気シェーバーは負担が少ない脱毛法ではあるものの、自己処理には変わりないので、肌に負担がかかっているということは忘れないでください。

電気シェーバーの使い方
1、シェービングする部分を洗浄して清潔にした後、タオルで水気を拭き取ります。
2、水洗いできるシェーバーを使うなら、プレシェーブローションを塗って、毛を柔らかくしておきます。水洗いNGのシェーバーは、蒸しタオルなどで肌を温め、柔らかくしておきます。
3、シェーバーは垂直に当て、軽く押しながらムダ毛を剃っていきます。
4、脱毛後は、アフターシェーブローションや鎮静作用を持つ化粧水、乳液、クリームなどを塗って保湿しましょう。

電気シェーバーの他にも、家庭用脱毛器を使えば、埋没毛になりません。家庭用脱毛器は肌に直接ダメージを与えることがないため、埋没毛の予防になります。ただし、皮膚科のレーザー脱毛に比べると、綺麗になるまでに時間がかかります。

埋没毛ができてしまったら、皮膚科に行くのがベストですが、自分で治したいという方は無理に抜こうとせず、毛穴を塞いでいる角質を優しく取り除くことから始めましょう。

角質が厚いと、皮膚の下の埋もれ毛が出てこれないので、ボディスクラブやピーリングで角質除去を行いましょう。

・ボディスクラブ

微細な粒子で古い角質を除去するスクラブは、肌表面の角質を削って、埋没毛に被さる角質を取り除きます。
スクラブにも様々な種類があるので、粒子や質感から、埋没毛により効果的なスクラブを選んでください。特に、埋没毛におすすめのスクラブは、塩スクラブとシュガースクラブです。粒子が粗い塩スクラブは角質を落とす効果が大きく、粒子の柔らかいシュガースクラブは保湿効果が高めです。

スクラブは、肌を柔らかくしてから使います。ゴシゴシ擦るのはNGです。週に1～2回のスペシャルケアとして、取り入れてください。
スクラブは余分な皮脂も取り除いてくれますが、やり過ぎると、乾燥肌や敏感肌を招く恐れがあります。乾燥肌の人は、肌荒れを起こすこともあるため、使い方には十分気を付けましょう。

・ピーリング

ピーリング剤を使うという方法もあります。肌表面の角質を削るスクラブとは違って、ピーリングは肌表面の角質を溶かして除去します。

ピーリング剤に含まれる成分は、大きく分けてAHAとBHAがあります。AHAはリンゴ酸やクエン酸、グリコール酸、乳酸といった天然由来成分配合のピーリング剤で、角質同士の接着を弱め、古い角質を除去します。AHAよりも刺激が強いピーリング剤が、BHAです。サリチル酸などが配合されているBHAは、皮膚への浸透力が高く、皮膚の深層までピーリング可能です。

ピーリングは自宅でもケアできますが、皮膚科では薬液や濃度を肌の状態に合わせて施術します。効果も高いのですが、敏感肌の人でも施術を受けられます。

埋没毛がなかなか出てきてくれない時は、保湿成分の入ったローションやクリームで、しっかり保湿しましょう。保湿成分には、コラーゲンやセラミドといった成分がおすすめです。

・毛穴専用ローション

埋没毛には、専用のローションもあります。足の毛穴対策用として販売されている「シルキーローション」は埋没毛対策にも人気のミルクローションで、@コスメの口コミでも高評価を得ています。

シルキーローションには、カミソリ負けを抑えるグリチルリチン酸ジカリウムやカンゾウ葉エキスが配合されているほか、セラミドやスーパーヒアルロン酸など、保湿効果の高い成分も配合されています。足の埋没毛対策だけではなく、ワキや腕にも使えます。

・毛穴専用ジェル

毛穴専用ジェル「ストレミライン」も、埋没毛対策として人気の商品です。無添加だから、敏感肌の人でも使えます。
ストレミラインはジェルタイプなので、ローションより保湿力は高いのですが、ベタつきません。セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸といった保湿成分のほか、美白成分も配合されています。

肌が傷付くとバリア機能が低下し、刺激から肌を守るために、大量のメラニンが生成されます。ターンオーバーが正常に働いていれば、メラニンも排出されますが、ターンオーバーが乱れていると、メラニンが排出されず、色素沈着を起こします。

ストレミラインには、メラニンの生成を抑えてシミやソバカスを防ぐ「水溶性プラセンタ」などの美白成分も入っています。メラニンの生成を抑えながら代謝バランスを整え、正常なターンオーバーへと導きます。

埋没毛を自分で無理矢理抜いていると、傷口に菌が入って化膿したり、自己処理を続けることで、埋没毛がどんどん増えていき、手に追えない状況に陥ります。

レーザー治療は、既にできてしまった埋没毛だけじゃなく、新たな埋没毛を作らないための予防にもなりますので、カミソリなどの自己処理を続けている方は、すぐに処理を中止して、皮膚科でのレーザー脱毛を検討してみてください。