頭皮の日焼けは思わぬトラブルの元にも? 頭のUVケアも忘れずに!
公開
りなっしー
紫外線対策には十分に気をつけているという人でも意外に見落としがちなのが「頭皮の日焼け」です。頭皮は人間の体の中でも一番高い位置にあるため、帽子を被り忘れたときや日傘を忘れた時などは、例え短時間でも紫外線の影響を受けやすいのが特徴です。
そこで今回は、頭皮の日焼けがどのような影響を及ぼすのか、さらには有効な対策法、ケア法などもまとめてご紹介します。
頭皮は顔より日焼けしやすい?
多くの人が誤解している点として、頭皮は髪の毛に覆われているため日焼けはしないということがありますが、この認識は誤りです。
一般的に人間の頭部は紫外線を最も浴びやすい箇所であるため、特に分け目などを中心に顔の3倍は日に焼けるとされています。
また、顔や他の肌と違い日焼け止めクリームを手軽に塗れないため、紫外線によるダメージも大きく、髪と頭皮は非常に痛みやすい場所なのです。
髪の毛を含めた頭部は、体の中で最も紫外線の影響を受ける場所であることを理解することが対策をするうえで重要です。
頭皮の日焼けによる髪への影響
頭皮が日焼けをすると、頭皮そのものが軽い火傷を負った状態になり、既存の髪の毛だけではなく、これから生えてくる髪の毛にも影響があります。
まず、直接紫外線が髪に照射される事による影響としては、毛を構成しているシスチンやチロシンなどのアミノ酸は紫外線を吸収すると酸化して別の物質に変化してしまいます。
その結果、健康的な黒色の髪が赤茶色のような色に変色したり、白髪のように見えることもあります。
さらに、システイン酸によって髪の毛のたんぱく質を構成する物質も破壊され、不完全な形状の髪の毛である枝毛や切れ毛が多くなります。
また、新しく生えてくる髪の毛への影響としては、紫外線を浴びた頭皮では細胞レベルでもダメージを受けており、とくに髪の毛を生成する毛母細胞が痛みやすくなります。
ダメージを受けた毛母細胞は、正常な髪の毛を生成できなくなって薄毛になったり、色が抜けた不完全な髪の毛が生成されて白髪が多くなる影響を受けます。
他にも毛根から毛が抜けやすくなって抜け毛が増えることも考えられます。
このように頭皮が日焼けをすると、頭皮そのものの炎症に限らず、脱色、枝毛、白髪など様々な影響があります。
頭皮の日焼けが引き起こす肌ダメージ
頭皮が日焼けすると頭皮の炎症、過剰な皮脂分泌、たるみ、硬化などの症状を引き起こします。
紫外線による頭皮の炎症
紫外線を浴び続けると、体の防御反応として血管が一時的に収縮した後に、拡張し血管透過性が高まります。
血管透過性が高まるというのは、血管の内外で様々な物質の分泌が増加するということで、分泌が増加する成分の一つである血漿成分が増加することによって炎症が起こります。
炎症が起こると頭皮の細胞がダメージを受けるため、ターンオーバーなどに影響をもたらします。
頭皮はほかの皮膚と比べても繊細で傷つきやすい性質であるため、ダメージをうけるとその影響が大きく、炎症によって赤くなってしまいやすい部位でもあります。
乾燥から脂漏性皮膚炎などのトラブルにも
紫外線を浴び続けた頭皮では、乾燥を防ぐことや、皮膚を守ろうと皮脂を多く分泌しようとします。
この結果、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まったり、皮脂内でマラセチア菌が増殖し、脂漏性皮膚炎などを起こすことがあります。
紫外線で頭皮がたるんだり硬くなったりする
この他に、紫外線を浴びた頭皮は、肌の弾力を構成するコラーゲンやヒアルロン酸なども破壊され、頭皮全体が弾力を失ってたるむこともあります。
同様に、肌の柔軟性もなくなり、頭皮が硬化してしまう可能性もあります。
頭皮のたるみや硬化は顔全体の表情などに影響する他、血行不良による体調の悪化なども引き起こす場合もあるものです。
このように、頭皮が日焼けをすると、炎症、過剰な皮脂分泌、弾力の低下など幅広いダメージや影響を受けてしまうため、日ごろのUVケアが重要です。
日焼けで頭皮からフケが出てくる
通常、頭皮というのは肌と同じように、ターンオーバーする中で、古くなったものが垢となって剥がれ落ちていきます。
しかし、頭皮のターンオーバーのリズムが乱れると、古い皮膚だけではなく新しい角質も一緒に剥がれてしまう事があり、これがまとまった大きなフケとして発生するものです。
一方、頭皮が日焼けを起こすとこのフケの状態も少し変化し、日焼け=軽度のヤケドによって頭皮が乾燥しやすくなっているため、まとまったフケでは無く細かい乾燥フケとして発生します。
日焼けで、頭皮から膿や汁が出てくる
頭皮の日焼けによる炎症が悪化していくと、肌がただれるようになったり、最終的には膿や汁が出てくる場合があります。
この汁はリンパ液(浸出液)によるもので、怪我をした時に出てくる透明な液体と同じもの。
細胞の再生を促したり、細菌の感染を防ぐ働きを行ったりするもので、傷を治癒する働きがあるもので、ふき取る必要はありません。
むしろ、ふき取ってしまうと肌のダメージ回復が遅くなってしまう可能性がありますし、悪影響を及ぼすものではないので放置しましょう。
一方、黄色く濁った膿が出てくるような場合、これは炎症によって頭皮の細胞が破壊されている状態ですので、早めに皮膚科へかかるようにしましょう。
膿は感染した細菌を取り込んで退治した白血球などの死骸によるもので、無害化されているとはいえ細菌が含まれていますし、放置しておくと炎症が悪化して他の場所にまで広がっていってしまうリスクもあります。
抗生物質など殺菌を行う治療によって早期に解決しやすくなるため、まずは一度クリニックに相談しましょう。
頭皮の日焼けを防ぐUVケア
顔や肌と異なり、頭皮の日焼け止めはちょっとしたコツが必要です。
大きく3つに分けて、物理的対策、日焼け止めクリーム対策、そして髪型の対策があります。
物理的対策は、帽子や日傘など紫外線を直接頭皮に当てないように工夫をすることです。最も手軽で効果的と言えるでしょう。近年では男性でも日傘を指すのが一般的になりつつありますが、男女問わず日傘は有効です。
日焼け止めクリームを頭皮に塗ることも効果的です。頭皮全体に塗るのは困難ですが、分け目やつむじなど頭皮が露出している部分を中心に塗ると良いでしょう。
一般的な日焼け止めクリーム以外にも、塗りやすい形状をしている頭皮専用のタイプもあります。
汗で流れ落ちやすいので、こまめな塗り直しを心がけてください。
頭皮が露出しやすい分け目を変えることもいいでしょう。
日頃から同じ髪型で、同じ分け目でいると一部の頭皮だけが紫外線を浴び続けますので、髪型を変えて頭皮を隠すこともおすすめです。
頭皮を守るUVケアは、帽子や日傘、日焼け止めクリーム、髪型などを組み合わせて対策しましょう。
頭皮が日焼けしてしまったときの対処法
頭皮が日焼けすることは、頭皮が軽度の火傷を起こしている状態です。一般的な火傷の処置同様に、速やかな冷却がポイントです。
触れても痛みを伴わないごく軽度の日焼けの場合は、水で濡らしたタオルや、冷凍庫で冷やしたタオルを頭部にのせて炎症部分を冷却してください。
氷を使う場合は直接頭皮につけるのではなく、タオルでくるんで急激に冷やさないようにしましょう。
冷却後は、化粧水と保湿クリームを優しく塗って保湿してください。
ヒリヒリした痛みを伴う場合は、冷却をした後、その日のシャンプーは控え、ぬるま湯で全体を洗った後に化粧水を頭皮につけましょう。
最後に炎症作用がある軟膏や、低刺激の保湿クリームをつけて保湿をしてください。
なお、触れられないほどの痛みや、赤く腫れているような場合は医師の診断を受けましょう。
頭皮が日焼けした場合、冷却と保湿が重要ですが、症状がひどい場合は医師に診てもらうことも大切です。
日焼け後のシャンプーは優しく丁寧に
頭皮が日焼けをした日のシャンプーは症状によって控えるなど見極めが必要です。
また、日焼けをした日の頭皮は炎症を起こしている状態ですので、シャンプー剤やお湯の温度、洗い方に気をつけましょう。
触れられないほどの症状でない限りは、弱酸性やアミノ酸系の低刺激シャンプーと38度~40度程度のぬるま湯を使って洗髪しましょう。
また、洗う際は爪を立てないようにして、ゆっくりと頭皮をいたわりながら優しく洗いましょう。
洗髪後は化粧水と保湿クリームをつけることを忘れないようにしてください。
シャワーの温度は低すぎると汚れや洗浄成分をしっかりと洗い流せず、頭皮に残ってしまいますし、熱すぎると頭皮に必要な皮脂などの保湿成分も流してしまう他、熱によるダメージとなるので温度管理は重要です。
日焼けした日の頭皮は火傷を負った状態であることを忘れずに、低刺激のシャンプー剤、ぬるま湯、優しく洗うことを意識して、頭皮に負担をかけないようにするのがポイントです。
また、シャンプーの後のドライヤーにも注意が必要で、髪との距離を30㎝以上あける事や、同じ箇所に温風を当て続けないように注意し、頭皮が熱によってダメージを受けないように気を付けましょう。
頭皮の日焼け後はカラーリング・髪染めはNG
頭皮が日焼けしている状態では刺激となるような行動を避ける必要があります。
その一つがヘアカラーで、カラーリングは髪へのダメージだけではなく、頭皮にも付着してカラーリング液が染み、頭皮の更なるダメージとなります。
頭皮の環境が悪化していくと健康な髪も生えなくなっていってしまうので、まずは頭皮の日焼けケアに集中し、日焼けが改善するまではカラーリングを控えるようにしましょう。
コメント
コメントを書く
ライター紹介
りなっしー
りなっしーさんが書いたほかの美容情報・ノウハウ
表情筋による小じわを解消「ボトックス注射」のよくある失敗
加齢によって気になり始める肌トラブルにも様々なものがありますが、その一つに小じわがありますよね。 小じわは肌の乾燥によって発生するタイプのものもあれば、表情のクセによって特定の部分にシワがはいる「表情ジワ」タイプのものもあります。 表情ジワは表情のクセによって出来るものですが [»続きを読む]
実は素足もキケン? 足の臭いを防ぐための3つのポイント
靴を脱いで開放感に浸ったと同時にニオイが気になる足。 何となく、足の臭いは冬のブーツが一番危険だと思っていると思いますが、実は素足になる夏の方が臭くなる危険もあったりと、ケア方法を間違えると悪臭の原因に。 足の臭いを防ぐための3つのポイントを紹介します。 [»続きを読む]
【汗じみ?ニオイ?】対策内容によって異なる汗脇パッドの選び方と貼り方
暑い季節になってくるとあふれ出てくる脇汗。日本は特に湿度も高いことから、汗が中々蒸発せず蒸れてしまうという特徴もあるため、脇汗の対策で悩む方は多いはず。 脇汗の対策として脇汗パッドを使う方は多いと思いますが、服の汗じみを中心に対策するか、ニオイを対策するかによって選ぶべき脇汗パ [»続きを読む]
脇のニオイも食事から? ワキ臭予防に摂りたい食事と避けたい食事
汗を沢山かく季節は、体臭も気になりますよね。特に満員電車や人の多い繁華街なんかにいくと、もわっとした熱気と共にニオイも漂ってきて、自分は大丈夫だろうかと心配になる人も多いと思います。 そんな汗臭いニオイですが、普段の食事によっても臭いが強くなったり、抑えられたりするので、ニオイ [»続きを読む]
制汗剤は使い方によっては汗をかきやすくなる!? 正しい脇汗ケアの方法
暑くなってくると気になる脇汗。汗が出てくる不快感だけではなく、服が湿ったりニオイが気になったりと、なるべく脇汗が出ないように抑えたくなりますよね。 脇汗を抑えるために多くの方が制汗剤を利用していると思いますが、実はこの制汗剤の使い方を間違えると、脇汗がより酷くなってしまう可能性 [»続きを読む]
頭皮ケアの新着記事
頭皮ケア用だけど、髪がしっとりするシャプー&トリートメント特集
良い髪を育てるには、髪の地肌のケアが大事! とはいうものの、頭皮をスッキリ洗い上げるシャンプーは髪がさらっとはするけれど、パサつきが気になりやすかったり、髪のダメージケアまではしてくれなさそう。そういうイメージがつきものです。 今回は、地肌をさっぱりと洗い上げながらも、髪がしっ [»続きを読む]
jobikai編集部
編集部スタッフ
頭皮のゆらぎに。「アユーラ」のスキンケア発想のヘアケアアイテムとは?
6月1日に新発売された、アユーラのヘアケアアイテム。頭皮のゆらぎを整えて健やかな髪の毛へと導いてくれます。 そもそも頭皮がゆらいでいることによって、水分・油分のバランスが崩れる、ターンオーバーが乱れるといった状態になり、頭皮の荒れ・痒みなどの原因にも。そのため季節の変わり目 [»続きを読む]
美容家
船山葵