エラスチンは真皮の中に元々存在しているタンパク質の一種で、コラーゲンと結びついて真皮の弾力を保つ役割を持っています。
コラーゲンは肌のハリを保つために必要な成分だというのがすでに一般常識のようになってきていますが、実はコラーゲンだけではハリを保つ事はできず、コラーゲンの繊維同士をエラスチンが結び付けて、網目状を作る事で真皮の弾力を保つ事ができるのです。
このような役割をもつエラスチンですが、コラーゲンなどと同様真皮内のエラスチン量は加齢によって減少し、40代頃になるとほぼなくなってしまうため、これが肌のたるみなど肌老化の原因になっていると言われています。

肌は、表面の0.2㎜程が角質細胞と細胞間脂質によるバリアーとして働く角質層(表皮層)があり、その下に肌に弾力を持たせ外部からの刺激を吸収するクッションとしての役割をもった真皮層があります。
真皮層の70％程度はコラーゲンによって構成されており、それ以外にコラーゲンを作り出す繊維芽細胞という細胞や、エラスチン、ヒアルロン酸などによって出来ています。
真皮は大体2㎜程度の厚さで、真皮より下になると、皮下組織という脂肪などの層に。革製品で利用されている動物の皮は、主にこの真皮層を利用した形となっています。

エラスチンは真皮層にコラーゲンと一緒に存在しているのですが、その割合としては２～５％程度と言われていて、実は割合としては非常に少なく、また加齢によって減少の一途をたどるといわれています。

前述の通り、エラスチンはコラーゲンの繊維同士を結び付ける役割ですが、エラスチンによってコラーゲンが網の目状になる事で、肌が弾力を持てるようになります。
イメージとしては卵のパックのようなもので、卵のパックはただの箱状で作られていたら外からの衝撃によって簡単につぶれてしまいますが、卵の形に合わせた凹凸の形状をとることで、衝撃に対して強くなっています。これと同じようなイメージで、ただ弾力があるだけの棒であるコラーゲンを、エラスチンが網目状につなぎ合わせる事で衝撃に対して強い構造を作る事ができるのです。

エラスチンは真皮だけではなく、血管など体内での弾力が必要な組織に多く含まれています。

以上のように、コラーゲンは弾力のある紐。エラスチンはその紐同士を結び付けて、網目状を作る結び目(ジョイント)としての役割をもち、その性質は大幅に異なります。
両方ともアミノ酸を原料として構成された成分のため分かり難いですが、特にエラスチンは新しく作られるという事があまりない成分といわれているため、いかに減らさずに残せるかがケアのポイントとなります。

エラスチンによってしっかりとコラーゲンが網目状を保っていると、肌は多方向からの衝撃に耐えられる弾力を保つ事ができます。
肌に弾力があると、たるみやシワといった加齢によって発生する肌トラブルを防ぐ事ができますので、逆に言えば真皮内におけるエラスチンの存在をしっかりと保てているかどうかが、たるみやシワといった年齢を感じさせる肌トラブルが無い肌作りには必要となります。

真皮内におけるエラスチンの量は20代後半までをピークとして、それ以降は年齢と共に減少の一途をたどるといわれています。
特に、40代を超えてくると急速にエラスチン減少が始まり、肌にほとんどエラスチンが無い状態になってしまうともいわれており、40代以降に急増してくるたるみやシワなどの肌トラブルは、これが原因の一つとされています。
肌の中のエラスチンを増やしていく事は現在ではかなり困難とされていて、コスメやサプリなどでエラスチンをとってもそれが真皮層のエラスチンになるものではありませんので、基本的には減少をいかに防ぐかという事がエイジングケアの重点になります。

エラスチンが入っている化粧品や美容液を利用しても、そのエラスチンが真皮において肌の弾力を作るという役割を持つ事はまずありません。
これはコラーゲンも同様で、そもそも肌の表面から真皮に美容成分が到達する事はほとんどないため、エラスチンの配合については真皮のケアではなく、あくまでも保湿ケアとして考えると良いでしょう。エラスチンやコラーゲンは真皮に利用される事はなくても、高い保湿性はもっており、また肌に元々存在するタンパク質の一種であるため刺激としても少ないという点では利点があります。

エラスチンが配合された化粧水や美容液を選ぶ場合、その保湿力を活かすためにもアルコールやエタノールといった水分を蒸発させる成分が入っていないかどうかや、防腐剤など肌への刺激となる成分が多くないかどうかを基準に選ぶと良いでしょう。

エラスチンそのものはタンパク質の一種であるため、プロテインやコラーゲンと同様、サプリメントで摂取しても基本的には体内でアミノ酸に分解されます。
アミノ酸に分解された後は体内に吸収され、再度何かしらの細胞の原料として利用されるため、エラスチンを摂取したからといって真皮のエラスチン量が増える事はまずありません。
そもそも、エラスチンが作られる流れなどはまだ科学的にも明確になっておらず、自然に新しいエラスチンが作られる事ほとんど無いとも言われていますので、真皮のハリを期待してエラスチンのサプリを利用する事はあまりおすすめできません。

とはいえエラスチンをサプリで摂取した場合、アミノ酸となって何らかの形で代謝に利用されるという意味ではプラスになりますので、なるべく配合量が多い事や、糖質など余分な成分が少ないものを選ぶようにすると良いでしょう。

エラスチンは人の体内同様、動物や魚の体内にも多く含まれています。
基本的にはコラーゲン多い部位にエラスチンも多く含まれていますので、モツや手羽先、軟骨といった部位や、魚を皮ごと食べるようにするとエラスチンを多く摂取する事ができます。

しかし、エラスチンはタンパク質の一種であるため、そもそも加熱をしてしまうとその性質も変わってしまう事から、食事でエラスチンを積極的に摂取するというのは事実上難しいかもしれません。

また、前述の通りエラスチンを経口摂取してもそれが再度真皮内でエラスチンとして利用されるわけではありませんので、エラスチンを拘って摂取するよりもエラスチンの減少を防ぐための成分……抗酸化作用があるビタミンCやリコピン等……を多めにとったり、バランスの良い食事に気を付けたりした方が、エラスチン量を保つためには良いと言えます。

エラスチンは元々体内に存在するタンパク質の一種ですので、基本的に副作用というものはありません。
ただ、化粧品であれサプリメントであれ、エラスチンと一緒に配合される成分には体にとって刺激となるものが含まれる場合がありますので、注意しましょう。

エラスチンは、「摂取する」よりも「減らさない」ためのケアを行う事が重要です。
エラスチンは肌がダメージを受ける事によって減少していってしまうので、紫外線対策や体内の活性酸素対策など、しっかりとエイジングケアをする事でなるべく減らさないようにケアをしましょう。