「スクラブ（scrub）」という英語には、ゴシゴシ洗う、磨く、といった意味があり、スクラブ洗顔とは細かな粒子の入っている洗顔料を用いた洗顔法のことです。微細な粒子がおだやかな研磨剤の役割をすることで、古くなった角質や毛穴に溜まった汚れを取り除き、手触りもなめらかにします。
スクラブに使われる素材には、米ぬかやこんにゃく、海藻や植物の種子を使ったもの、重曹やクレイ（泥や粘土）、自然石、天然塩やお砂糖由来のもの、合成素材（ナイロンパウダーや合成ワックス）など、さまざまな種類があります。粒子の大きさも、粉状のものから粒がはっきりわかるようなものまであり、洗浄力にも違いがあります。また、ボディ用のスクラブもあり、肘やかかとの角質ケアとしてこちらも人気です。

古くなった角質や毛穴に溜まった汚れも落とせるスクラブ洗顔。どのような効果があるのか、チェックしてみましょう。

肌のターンオーバーの乱れなどにより、古い角質が剥がれ落ちずに肌の表面に溜まってしまうと、くすみの原因になってしまいます。スクラブ洗顔で不要な角質を取り除いてあげることで、くすみを改善し肌を明るくする効果があります。ザラつきやごわつきも取れて、表面もなめらかな感触に。また、古い角質がはがれ落ちることにより、肌のターンオーバーの正常化も助けます。

お肌の血行が滞っていると、顔色も暗くくすみがちに。スクラブの粒子によるおだやかな刺激により、肌の血行を促進させる効果があります。血行が良くなることで、お肌に必要な酸素や栄養分もすみずみまで届き、ツヤやハリもアップします。

皮脂や古い角質、メイク汚れなどが毛穴に詰まることで、角栓ができてしまいます。それが酸化して黒ずんでしまったものが毛穴の黒ずみ。スクラブの細かな粒子は毛穴の奥まで入り込み、溜まった汚れや角栓を取り除き、毛穴の黒ずみも解消してくれます。

毛穴に溜まった皮脂や汚れに雑菌が繁殖し、炎症を起こすことでニキビができてしまいます。スクラブ洗顔で毛穴に溜まった皮脂や汚れを取り除いてあげることで、雑菌の繁殖を防ぎ、ニキビの予防につながります。ただし、炎症の起きてしまっているニキビは、スクラブの刺激でさらに悪化する恐れがありますので、避けるようにしてください。

スクラブ洗顔で不要な角質を取り除いたお肌は、化粧水や美容液などの浸透率もアップ。スキンケア効果も高まり、スクラブ洗顔をした次の日のお肌はやわらかくモチモチとして、お化粧のノリが良くなることも期待できます。

スクラブ洗顔は、正しい使い方をすることが大切。ここからは、スクラブ洗顔を使う時のポイントについてご紹介します。

先述した通り、スクラブにはさまざまな種類があります。一般に、重曹や合成素材のスクラブは洗浄力が高く、皮脂が多い人や肌が丈夫な方に向いています。米ぬかを使ったものやお砂糖を使ったシュガースクラブは、刺激がおだやかで保湿効果もあり、敏感肌や乾燥肌の人にもおすすめです。こんにゃくを使ったものや、クレイスクラブも、肌への負担を少なくしながらも不要な角質や毛穴の詰まりをやさしく落としてくれます。
スクラブには種類がたくさんあり、目的や肌質に合わせて選ぶ必要がありますが、マイルドなタイプのものでも十分ケアできます。ぜひ、ご自分の肌に合ったものを探してみてください。

使用する商品にもよりますが、スクラブはクレンジグと洗顔を終えた後の、汚れがなくなった状態で行います。洗顔もできるタイプのスクラブであれば、クレンジングのみでも構いません。湯船に入った後の、毛穴の開いた状態がおすすめです。摩擦を減らすため、使用する前に顔を濡らすのを忘れずに。
泡立つタイプのものはしっかり泡立て、通常の洗顔と同じように泡でやさしく洗うようにします。そのまま使うタイプのものも、決して力を加えたりせず、やさしく肌になじませるように洗っていきます。これまでスクラブ洗顔がうまくいかなかったという方は、やさしく洗っているつもりでも、力が強過ぎたのかもしれません。

スクラブ洗顔の成分が肌に残ると、肌荒れやニキビなどトラブルの原因となってしまいます。どの洗顔料を使う時にも言えることですが、成分が残らないよう、ぬるま湯でしっかりとすすぐことが大切です。このときもやはりゴシゴシとすすぐのではなく、両手で優しく包み込むようにしてすすぎましょう。髪の生え際やこめかみ、フェイスラインなど、すすぎ残しの心配な場所も丁寧に洗い流します。

スクラブ洗顔後のお肌は、普段よりも乾燥しやすいため、すぐに保湿ケアを行ってください。
タオルなどでやさしく水気を拭き取ったら、すぐに化粧水で保湿し、必要に応じて美容液や乳液、クリームなどでお肌を乾燥から守りましょう。洗顔後の保湿は、肌のターンオーバーを整えるための最も大切なケアです。

スクラブの粒子には研磨効果があるため、ゴシゴシこするような洗い方をしてしまうと、お肌への刺激となり、肌荒れや炎症を起こす可能性があります。やさしく粒子をすべらすようにした方が、不要な角質や毛穴の奥の汚れは落ちます。逆に力を入れてゴシゴシ洗うと、肌を傷めるばかりです。また、皮膚の薄い目の周りへの使用は避けた方が良いでしょう。

スクラブで洗うとさっぱりするからといって、週に何度も使うのはやはりお肌を傷めます。肌の調子を見ながら、週に1～2回のスペシャルケアとして行うだけで十分です。肌の状態によっては、頻度はもっと少なくても構いませんし、ザラつきの気になるTゾーンや小鼻だけ使うという方法も良いでしょう。

スクラブの粒子が目に入らないよう、しっかり目を閉じて使うようにしましょう。もし目に入った時は、こすってしまうと角膜を傷つけてしまう可能性があるので、決してこすらずにそっと洗い流すようにします。異物感や違和感などが残っていたら、すぐに眼科医へ相談してください。

注意点のところでもお伝えしましたが、スクラブ洗顔のデメリットは、肌への刺激性があり、使い方を間違えると肌を痛めてしまう可能性があることです。これが、スクラブ洗顔に賛否両論がある最大の理由でしょう。
確かに強くこすりすぎると、肌が傷ついて炎症を起こしたり、バリア機能を低下させてしまいます。また、必要な皮脂まで落としてしまうと、お肌を守るために余計に角質が厚く硬くなったり、過剰な皮脂分泌が起きてしまうことにもなりかねません。
角質を取り過ぎてしまったことで、急いで肌を再生させようとターンオーバーが早まり、まだ未熟な細胞が角質層に押し上げられてしまうこともあります。未熟な角質は、バリア機能や保湿機能も弱く乾燥しやすいため、肌トラブルも起きやすくなります。
もともとお肌が敏感な人や、乾燥してバリア機能が低下してしまっている人には、メリットよりもデメリットの方が大きくなってしまうかもしれません。
スクラブ洗顔は、自分の肌の調子をよく確かめながら、やさしく行うようにしてください。

お肌のくすみの原因には、古くなった角質の蓄積だけでなく、血行不良や乾燥によるもの、メラニン色素の沈着などがあります。メイクがきちんと落とせていなかったり、皮脂汚れが残っていたりすると、それらが酸化してくすみを引き起こすこともあります。また、糖分の摂り過ぎにより、お肌にあるコラーゲンなどのたんぱく質と糖が結合してしまうことで、糖化といってお肌が黄色っぽくくすんでしまうこともあります。
特に年齢を重ねてくると、メラニンによるくすみや糖化によるくすみのように、スクラブ洗顔で古い角質を取り除くだけでは解消しないくすみも出てきます。
普段のクレンジングや洗顔を見直してみたり、メラニンの沈着を防ぐために美白効果のある化粧水や美容液を試してみるのも良いでしょう。
たんぱく質やビタミン、ミネラルなどお肌の栄養分は、常に意識して十分な量を摂りましょう。糖質は体のエネルギー源として必要な栄養素ですが、摂りすぎには注意が必要です。
そして、十分な睡眠を確保し、適度な運動をすることも、ターンオーバーのサイクルを整え、くすみを解消するためには大切です。
そう、お肌を元気にするための基本は、肌のターンオーバーを整えること。スクラブ洗顔で古くなった角質や余分な汚れをきちんと取り除いてあげることは、肌のターンオーバーの正常化につながり、それがくすみ解消も含めた美肌づくりにつながります。ぜひ上手に取り入れてみてください。

スクラブ洗顔は、使い方と頻度さえ間違わなけれは、くすみや毛穴の詰まりを解消して、ターンオーバーを整える手助けもしてくれます。ただし、お肌への負担の大きいアイテムであることは事実。肌が敏感になっていたりお肌の調子が悪い時には、控えるようにしましょう。
ポイントを押さえたスクラブ洗顔で、ぜひ、くすみのない明るい肌を手に入れてください。